odd_hatchの読書ノート

エントリーは2600を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2021/9/25

小沼純一「武満徹 その音楽地図」(PHP新書)

 以下は2005/03/21に書いたもの。
 花粉症のもっとも症状の重い数日間になり(毎年3/4に最初の症状が出て、春分の日にピークになる。4/4には症状がなくなる)、鼻炎薬を服薬しているので頭がぼうっとしていて(鼻炎薬は血管収縮作用をもたらす成分を含んでいる)、重い内容の本を読むことができない。古本屋にいったら武満徹を主題にする新書があったので(2000年以前には現代音楽家について書かれたものが新書で出版されるなど考えられなかった)、購入して読んだ。著者は早稲田大学助教授ということだが、洋泉社系のオルタナティブな音楽ガイドブックの著者の一人として名は知っていた。
 この3ヶ月は経済学関連の本を中心に読んできていて、文学を遠ざけてきた。どれも思考の過程が合理的で、論理的な文章であった。それがあってか、この新書を読みながら、何を言いたいのかよくわからない、あるいは曖昧な表現のまま論を進めていくことにひどく当惑した。文学や美学の文章はこのように感覚的であっていいのだろうか、ということ。この点は、著者の文章に問題があるのかもしれない。
 たしかに武満徹の音楽はとっつきにくいものであるし、彼の言葉も難解なものであり、作品表やディスコグラフィーもしっかりしていない(と2005年当時に思っていたが、小学館から全集のCDがでたりするなど改善されている)。名は高くても聞く人はそれほどいないという状況になっている(とはいえ、マンガ「のだめカンタービレ」に「遠い呼び声の彼方へ!」が引用されてもいるので、そこまで強い主張をしてはならない。自分の恥として残します)。
 武満へのガイドとして、声楽作品→室内楽→オーケストラ曲→「ノーヴェンバー・ステップス」という方向を示したり、音楽の特質を秋・水というキーワードから見るというのは、凡庸ではあるがわかりやすい見取り図になっている。この本を読んで著者の議論をそのまま受け取る事はなくても、とりあえずは作品一覧が載っていることに感謝、というところかな。安いCDもでていることだし、手を出してみてくださいな。
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 あとがきを見ると、2005年4月の武満徹回顧展に向けた出版とのことで、同年2月23日に書き終えたものだった。それがどうして3/21に古本屋に並んでいたのだろう?

 武満徹の本はどれも高くてねえ。手が出ねえ。対談本はいくつか文庫や新書ででていた。入手可能かどうかは置いておくとして。手元にあるのは、
2014/01/08 大江健三郎/武満徹「オペラをつくる」(岩波新書)
2012/08/02 武満徹/小澤征爾「音楽」(新潮文庫)
2016/10/13 武満徹/川田順造「音・ことば・人間」(岩波同時代ライブラリー) 1978年
2014/10/15 蓮實重彦/武満徹「シネマの快楽」(河出文庫)
小沼純一編「武満徹対談選―仕事の夢 夢の仕事」 (ちくま学芸文庫