odd_hatchの読書ノート

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マーティン・ガードナー「奇妙な論理」(現代教養文庫)

 ニセ科学や超常現象、ニセ医学などのデバンキングの古典。アメリカの初版は1952年というのに、でてくるトンデモ科学は現在でも健在で、しかも主張がまったく進歩していない。まったくあいつらには進歩とか前進とかいうのはないのか(えーと、引用は正しかったかな)。一時期、健康業界で一円玉健康法みたいなものがあって、どこかに異常がでたら一円玉を足の裏とか手のひらに張るとよくなるという内容。斬新だなあと当時は考えていたが、なんだ「地帯療法」という名称で数十年前からあったのだった。ときの科学のことばを使って装いを新しくしているだけ。中身は全然変わっていない。

 残念ながら、受け取る側は世代交代するとか、記憶を残さないとかで、古い間違った主張を繰り返しても再度詐欺が成功するということになる。多くの人が言うように、教祖や事業のマネージャー、熱心なビリーバーさんを「転向」させることはできないのであって(ビリーバーさんがその「療法」とか「超科学」から離れるときはたぶんほかのニセ科学に行くときだけだろう)、これ以上の参加者を増やさないことが重要だとおもう。願わくば、これらのニセ科学、ニセ医学の主張者や信奉者が高齢化し、新しい若い参加者がいなくなり、組織が縮小していくことを望む。いずれはなくなることを期待したいが、古い棄却された主張を「新発見」して再度主張するうっかりさんはいなくならないだろう。どこがニセ科学批判行動の目標達成であるのか、この混沌の状況ではため息をつくしかなく(堀田善衛司馬遼太郎のように「本当に人間は度し難い」と嘆きたいくなる)、とりあえず「それはここが間違っている」「その行為による利益や改善は生じない」「その行為はこういう危険を冒す」と指摘するしかない。
 一応、備忘のために、著者が認定したニセ医学とニセ医療のリストを掲げておこう。
ホメオパシー(同種療法)
・自然療法(ナチュロパシー)
 以上の問題は、現代医学の否定、薬の投与拒否をすること。
虹彩診断
・地帯療法
・整骨療法(オステオパシー
・脊椎指圧療法(カイロプラクティック
 次は危険な食事摂取法。および効果や根拠があると認められていないもの。
・断食療法
・よくかむフレッチャー主義
・食い合わせの危険
・反牛乳主義
・菜食主義
有機農業
・細菌による土の活力化
 この国で「独自に」現れた主張も、著者のリストに掲載されていることに注目すべし。最後の例など。
 自分の読んだのは古本屋で入手した現代教養文庫版。こちらはいくつかの章が削除されている。訳出されたころのこの国ではあまり知られていないからという理由。

  

 その後ハヤカワ文庫で全訳が2冊で出た。

  

 ニセ学問かどうかの判別方法をショウペンハウエル先生が書いているので参照。
ショウペンハウエル「読書について」(岩波文庫) - odd_hatchの読書ノート