odd_hatchの読書ノート

エントリーは2600を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2021/9/25

田中宏「在日外国人(第3版)」(岩波新書)-1

 2013年にでた第三版を読む。前の「新版」が出たのは1995年。およそ20年後との大きな違いは、日本社会に排外主義やレイシズムが蔓延するようになり、路上やネットでヘイトスピーチがおおっぴらに発せられるようになったこと。アジア諸国が経済発展する一方、日本の経済は沈滞し、少子化が進んで労働力が減少している。外国人労働者を奴隷のように使う行為が横行する。とくに中近東で難民が出て、日本を目指す人がいるが、日本の行政と社会は受け入れないでいること。それらの状況を反映して、本文が大幅に書き換えられた。

 1995年初出の新版の感想はこちらで。

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アジア人留学生との出会い     ・・・ 個人的な述懐。1960年代からある外国人留学生や労働者、在日朝鮮人への差別の横行。特に行政において。伊藤博文の顔が印刷された紙幣を使うことへの嫌悪感。

在日外国人はいま ・・・ 2012年外国人登録法廃止(日本人と同じ住民基本台帳法が適用される)。2009年入管法が改訂され、技能実習生制度ができる(これが奴隷労働的な酷い実情になっている)。20世紀の在留外国人は数十万人だったが、2019年には210万人。訪日外国人も2011年に544万人だったのが、2019年には3188万人。国内の多くの観光地・商業地は外国人観光客を当てにするようになった(日本人は金がないので購買力がない。一方外国人からすると日本の物価は割安)。

「帝国臣民」から「外国人」へ ・・・ 20世紀日本による朝鮮人政策のまとめ。詳細は下記まとめなど。
海野福寿「韓国併合」(岩波新書) 1995年
2017/05/24 高崎宗司「植民地朝鮮の日本」(岩波新書) 2002年
2020/03/05 徐京植(ソ・キョンシク)「在日朝鮮人ってどんなひと? (中学生の質問箱)」(平凡社) 2012年
 簡単に言うと、朝鮮を植民地にしてから日本は朝鮮人を「帝国臣民」としたが人権を保護しなかった。敗戦から講和条約までの間に朝鮮人日本国籍を喪失させられ「外国人」とされた。日本の都合に合わせて、「帝国臣民」「外国人」扱いされ、常に人権は保護されず社会保障の外に置かれた。

指紋の押捺 ・・・ 1952年外国人登録法施行から外国人の指紋押印をとるようになった(罰則付き)。もともとは植民地下朝鮮での日本企業が地元労働者管理に使いだしたもの。反対運動が起き、1990年に在日朝鮮人の指紋押印が廃止。199年に全廃(911以降、入出国に際して全員の左右親指の指紋が記録されるようになった)。(前の章の関連でいうと、在日朝鮮人を「外国人」扱い、かつ犯罪者と同等の管理をする人権侵害行為だ。)

援護から除かれた戦争犠牲者 ・・・ 1952年の講和の処理によって、朝鮮人日本国籍を喪失した。その結果、日本政府は軍人への恩給などの支払いを拒否してきた。理由は国籍が異なる/ないから。帰化しても支払い対象にならない。そのような差別政策と日本政府は続けている。今でも原爆被災者への生活支援などの支払いを拒否している。

 

 どの章もそのテーマで複数の本で勉強しないといけない。なかなか手が回らないけど、本書などですこしずつ知るようにしていこう。

 

 

2022/05/20 田中宏「在日外国人(第3版)」(岩波新書)-2 2003年に続く