歴史・地理
1960年代に出版社は叢書や通史などの巨大な書物をつくることが多かった。その象徴が平凡社の百科事典で、販売の成功(百科事典のセールスマンが団地に営業をかけるというくらい。イギリスの成功例を導入したもの。この国では1980年代頭まであった)にあった…
これも20数年前(2005年当時)に購入し、読みかけて、理解できなくて放置しておいたもの。久方ぶりに取り出して読み出すと、きわめてすらすらと読み進めていけた。西洋の中世から近現代の歴史を少しは学んできたのが理由と思う。 もとは1967年の自主講座(懐…
イエスの時代をユダヤの側だけから見るだけではなく、ローマの側からもみるためにこの本を読む。どうやら河出の「世界の歴史」シリーズは歴史学で認められる事実だけではなく、当時の人々が事実と考えていたことも歴史に書いてよいというスタンスらしい。福…
続いて、フランス革命以後の国民国家(ネーション―ステート)の概説。 ・ネーション(国民)は6個の要因が作用して生まれた結果であるとする。 1)住民および外国人の眼に国を体現していると見え、聖化されて忠誠な執着の対象になり、共同体のアイデンティ…
副題は「分裂と統合の1500年」。「ヨーロッパ」という場所は、ローマ帝国以降に生まれたという考え。 ヨーロッパというくくりで1500年の歴史を見るのが斬新なみかた。ヨーロッパをイギリスからポーランドまで、北欧三国からイタリア、スペインまでとみて、そ…
西洋由来の科学を大学で勉強したり、西洋クラシック音楽を聴いたり、多くの小説を読んでいたりすると、必然的に(自分にとってはという限定付きで)「ヨーロッパ」という場所に興味を持つことになる。とはいうものの、多くの場合はそこに住む人々の集合の差…
著者はドイツ政治思想史を専攻するが、一方でキリスト者としての活動も行っている。自分には岩波新書ででた「キリスト教と笑い」が、映画や翻訳のでたエーコ「薔薇の名前」の主題と共鳴していて楽しく(?)読んだ。福音書に書かれたイエスの言行から笑いを見…
1890年から1920年までのドイツの学生はどのような生活をしていたのかを俯瞰する資料。内容に触れる前に前史を確認しておかないといけない。もともと「ドイツ」には放浪学生の習慣があった。ようするによい教師を求めて、自由に大学を移動する権利をもってい…
まあ以下のような妄想を書く人もいないだろうから、「トンデモ」認定を受けることを甘受して妄言を記しておこう。すなわち19世紀以降のロシアとこの国の歴史には類似と平衡関係が認められると。 ・19世紀前半において、両国は農業を主産業とする封建国家であ…
エーコ「薔薇の名前」の舞台は北イタリアの修道院。時は1327年。この数年後の1337年に中央アジアあたりから蔓延してきたペストが、南ヨーロッパ(ギリシャとかトルコあたり)に上陸した。約7年間、ヨーロッパ全域で猛威をふるった。当時のヨーロッパの人口は…
砂漠という場所は、なぜかくもわれわれの心を震えださせるのだろうか。そこに住む苦労や苦痛に対して何らの想像力をはたかせることなく、砂漠という場所にあることを夢想し、そこに在ることにあこがれる。 現実の砂漠に住んではいないわれわれにとって、想像…
レオポルド・ランケが1854年にバヴァリア国王マクシミリアン2世に行った歴史講義の記録。マクシミリアン2世は1856年に死去。その後を次いだのが狂王ルートヴィッヒ2世。講義の直前の1848年ドレスデン革命にはワーグナーが参加。というわけで、高校2年の…