日本文学_エンタメ
昭和30年1月23日生まれの山本太郎くんは、高校生。大学教授の父と翻訳家の母を持つ一人っ子。でもって、成績はそれなりに優秀(勉強している描写はなくてもどうやら上位にいる模様)、個人でするスポーツ好きで陸上部に所属し県の大会で11秒3を出して2位。…
最初に読んだのは中学1年生のとき。「国盗り物語」の大河ドラマを欠かさず見ているときに、「国盗り物語」「の原作を読み、これほど面白い小説があるのかと図書館にいって、同じ著者のこの小説を借りてきたのだった。(自慢することにしよう。それから1年を…
1988年ころに本屋で「人間臨終図鑑」という大部の本を見た。上下2巻で、一歳から90歳くらいまでの有名人の死にざまを書いたもの。国籍、性別、職業に関係なくともあれ有名人であれば、とにかく死にざまを収録しようとするもの。配列の基準は単純に死亡時の年…
ふむ、四半世紀前のほぼ同じ月に読んでいたのか。 そのときは、中国の歴史にはほとんど無知だったので、この小説にはほとほと苦労させられたのだった。作者のほかの小説との差異を考えれば、僕らとしては、中国古典と中国古代史を基礎知識として持たないので…
池田東大(わが子に東大(読みはとうしん)という名前をつけるってありそうで怖い)くんはやせっぽちで運動がよくできないし、勉強もそれほど好きではない。特技は物語を作ること、いろいろな計画をたてること。しかしそういうところは親はまったく評価して…
「夢にまでみた、真白な軟式野球ボールが欲しい。山形から闇米を抱えて東京に向かう六人の国民学校六年生の野球狂たち。上野行きの列車の中は、満員のすし詰めだった。二斗六升の米を、無事に東京まで運べるだろうか。少年たちの願いもむなしく二斗の米が…。…
夏の陣で千姫は亡くなっていないという奇想からさらに想像力(というより妄想力)をたくましくしていき、そこに実在の人物のさもありそうな思惑を加えていく。大阪夏の陣で五人の女忍者が千姫を連れて逃げ出し、千姫のおなかには秀頼の子供が宿っている。そ…
山田宏一氏の「次郎長三国志 マキノ雅弘の世界」という本で、マキノ雅弘監督による同名の連作映画のことを知っていてから、すこし気になっていた。あるいは、平岡正明が、極真会館本部にいたころ、練習のあと、居酒屋で次郎長や子分のことを練習仲間と評して…
黒澤明監督の「姿三四郎」を先に(ずっと以前に)みていたので、上巻から中巻にかけてはその映像を思い出すことができた。村井半助役の志村喬は、その表情までも思い出すほど。 克己心のある野暮な主人公、しかも彼は非常に優れた運動能力を持っている。彼は…
作者の長編では、なぜか人気のない一編。理由を考えると、「義経」の脱神話化を目指しているから。ここに描かれた義経は、英雄的なところがまったくない。義経に「ヒーロー」を期待する読者を裏切っている。 上巻では、四条河原での弁慶との劇的な出会いがな…
物語は真珠湾攻撃準備で太平洋を渡航中の空母から始まる。第1次攻撃に向かった艦爆機が帰還すると操縦手が服毒死している。その直前には機体整備の兵士が理由なく失踪している。また潜水艦では決死の小型潜水艦による真珠湾攻撃準備中、潜水中の艦内で重要書…