odd_hatchの読書ノート

エントリーは3600を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2026/7/3

2026-09-01から1ヶ月間の記事一覧

カーター・ディクスン「赤後家の殺人」(創元推理文庫)-2 そこで寝た人はすべて不審死を遂げるという古い家にある開かずの間の殺人事件

前回から14年を経ての再読。きちんとメモを取らなかったので、初読に等しいのだが、犯人と方法は鮮明に覚えていた。そこでカーのうまさを確認することになった。 2010/11/25 ジョン・ディクスン・カー/カーター・ディクスン「赤後家の殺人」(創元推理文庫)…

ジョン・ディクスン・カー「三つの棺」(ハヤカワポケットミステリ)-3 有名な密室講義は読者を関心をそらすためのスディレクション。

人生三度目の読了。サマリーと前回の感想は以下。 ジョン・ディクスン・カー「三つの棺」(ハヤカワポケットミステリ)-1 この探偵小説では密室講義が有名。1935年にはすでに探偵小説の歴史が90年になっていた。ポー以来作家は競って「密室」の謎に挑んだの…

ジョン・ディクスン・カー「火刑法廷」(ハヤカワ文庫)-2 男ばかりで事件を検討したので、不死者アンデッド恐怖と女性嫌悪ミソジニーがあらわになった。

約10年ぶりの再読。堪能。サマリーと感想は下記リンクで。 odd-hatch.hatenablog.jp 前回はミステリーとして読んだ。今回は「モダンホラー」として読んだ。ここでいう「モダンホラー」はS.キング以降に現れた主にアメリカ作家によるぶっといノベルではない。…

ジョン・ディクスン・カー「曲った蝶番」(創元推理文庫)-2 長たらしい尋問シーンをやめてキャラを動かすようになったので小説は面白くなった。中期の名作のひとつ。

15年前に読んだときの感想は以下。 ジョン・ディクスン・カー「曲った蝶番」(創元推理文庫) ストーリーは前回の感想にまとめているのでここでは省略。まとめに入れなかったことに発見があったので、メモする。・ある家の当主の本物が現れる。前回は「天一…

ジョン・ディクスン・カー「不可能犯罪捜査課」(グーテンベルク21) 戦時下に書かれた冗談とファンタジーの短編探偵小説集。

カーの第一短編集。前回の感想は下記。サマリーはそっちにまかせます。 2010/11/20 ジョン・ディクスン・カー「カー短編集 1」(創元推理文庫) 「不可能犯罪捜査課」とは「The Department of Queer Complaints」のこと。小説内の説明によるとこう。 事実そ…

ジョン・ディクスン・カー「皇帝のかぎ煙草入れ」(ハヤカワ文庫) パリに単身で乗り込んだ異邦人女性が殺人と三角関係を解決して自立をめざす。

15年ぶりの三回目の読書。これは傑作ですね。堪能しました。 ストーリーのサマリーは前回の感想を参照。2010/12/08 ジョン・ディクスン・カー「皇帝のかぎ煙草入れ」(創元推理文庫) 前回は不可解な謎にフォーカスしてしまったが、今回は主人公のイブ・ニー…

カーター・ディクスン「爬虫館殺人事件」(ハヤカワポケットミステリ) 戦時統制経済下でもイギリスの民主主義はミステリの娯楽を取り締まらない。

15年ぶりの再読。これはカーの秀作。ベスト10にはいるか入らないかの位置にあります。今回も堪能。 ストーリーは前回の感想を参照。言いたいことはここに書いてしまっていた。ジョン・ディクスン・カー/カーター・ディクスン「爬虫類館の殺人」(創元推理文…

ジョン・ディクスン・カー「囁く影」(ハヤカワ文庫) 女性を「吸血鬼」を決めつけるのは男だけの話合いを延々と続けるから。

干支が一回りしてからの再読。前回の感想はこちら。 2014/09/12 ジョン・ディクスン・カー「囁く影」(ハヤカワ文庫) 前に読んだときは、カーの傑作として高評価。二つの事件の謎解きをするパズラー小説としてはとてもよい。カーの長編でもここまでの仕掛け…

ジョン・ディクスン・カー「ビロードの悪魔」(ハヤカワ文庫) 平易な文体でキャラにアクションさせたイギリス時代小説の傑作。早い時期のSFミステリーでもある。

干支が一回りしてからの再読。ああ、おもしろかった。 サマリーは前回の感想を参照。2014/09/01 ジョン・ディクスン・カー「ビロードの悪魔」(ハヤカワポケットミステリ) 舞台は清教徒革命と名誉革命の間。ピューリタンは王を追放して、生活と宗教が一体化…

前田勉「江戸の読書会」(平凡社ライブラリー)-1 会読会は身分制や共同体の規制から解放された自由と平等の言論空間。儒書、蘭書、漢文古典を共同で読み討論する。

日本の教育制度をみるために、まず江戸時代を探る。辻達也「江戸時代を考える」(中公新書)によると、江戸時代の初期に列島に住む人々に教育熱、学問熱が高まったという。詳細はわからなかったので、本書を参照する。江戸の人びとは会読会という読書会を開…

前田勉「江戸の読書会」(平凡社ライブラリー)-2 19世紀、儒学と国学を学ぶ武士の会読会は政治的議論の場になり、自発的アソシエーションができた。

2026/09/07 前田勉「江戸の読書会」(平凡社ライブラリー)-1 会読会は身分制や共同体の規制から解放された自由と平等の言論空間。儒書、蘭書、漢文古典を共同で読み討論する。 2012年の続き 徳川幕府が作った身分制による格式維持と戦争準備態勢を継続する…

前田勉「江戸の読書会」(平凡社ライブラリー)-3 自発的アソシエーションで維新を達成した明治政府は平民の自発的アソシエーションを潰した。

2026/09/07 前田勉「江戸の読書会」(平凡社ライブラリー)-1 会読会は身分制や共同体の規制から解放された自由と平等の言論空間。儒書、蘭書、漢文古典を共同で読み討論する。 2012年2026/09/04 前田勉「江戸の読書会」(平凡社ライブラリー)-2 19世紀、儒…

吉田真樹「再発見 日本の哲学 平田篤胤 霊魂のゆくえ」(講談社学術文庫) 記紀からは霊魂のゆくえを決められないので、篤胤は西洋の知見を神道に導入した。

日本思想としての平田篤胤にはぜんぜん関心はない。本書を読む理由は、神道平田派がなぜ「幕府倒壊の一つの力(和辻哲郎)」になったかということと、国家神道成立にどうかかわったかということだけ。あいにく本書にはその説明はなかった。その点では残念。 …

町田明広「攘夷の幕末史」(講談社学術文庫)-1 日本人はほぼ全員が攘夷である。公武合体でも一致していた。しかしその方法と時期で対立していた。

本書の惹句を書店のページから引用する。 「「尊王攘夷vs.公武合体」という幕末史の定説は、事の実相を捉えていない。当時の日本人の対外認識はみな攘夷であり、即刻それを為すか否かの相違こそが、あの血で血を洗う政争を生んだ。これまであまり顧みられ…