odd_hatchの読書ノート

エントリーは3400を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2025/9/26

2025-02-01から1ヶ月間の記事一覧

フョードル・ドストエフスキー「貧しき人々」(光文社古典新訳文庫) 47歳の独身男マカールが17歳の少女を援助するのは愛か打算かそれとも

訳を変えて再読(3回目)。2020/02/28 フョードル・ドストエフスキー「貧しき人々」(河出書房)-1 1846年2020/02/27 フョードル・ドストエフスキー「貧しき人々」(河出書房)-2 1846年 1846年に出た作家のデビュー作。タイトルは「貧しい人々」。文通をし…

フョードル・ドストエフスキー「二重人格」(岩波文庫)-1 ゴリャートキン氏は目覚めた時から世界と融和していない

前回読んだとき(2020/02/25 フョードル・ドストエフスキー「分身(二重人格)」(河出書房) 1846年)はさっぱりわからなかったので、訳を代えて再読。今度はわかった(気が少しはする)。 前回は「われらの主人公」であるゴリャートキン氏の精神(というか…

フョードル・ドストエフスキー「二重人格」(岩波文庫)-2 よそよそしいペテルブルクでゴリャートキン氏は分裂する。

2025/02/27 フョードル・ドストエフスキー「二重人格」(岩波文庫)-1 ゴリャートキン氏は目覚めた時から世界と融和していない 1846年の続き ラストシーン。前回の読みでは小説のレベルを超えるイベントのようにおもっていたが、それはゴリャートキン氏の精…

フョードル・ドストエフスキー「家主の妻(主婦、女主人)」(河出書房)-1 思いがけずに遺産を受け取り引きこもりになったオルディノフは「地下室」の人。

前回は「主婦」のタイトルで読んだ「家主の妻」をKINDLEで見つけて再読した。亀山郁夫は「女主人」と呼称していて、タイトルは一定していない。今回の再読では「家主の妻」がふさわしいと思った。 さて、この長めの短編はほぼ無視されているが、よく読むと注…

フョードル・ドストエフスキー「家主の妻(主婦、女主人)」(河出書房)-2 プロットとキャラはほとんど「罪と罰」のプロトタイプ。

2025/02/24 フョードル・ドストエフスキー「家主の妻(主婦、女主人)」(河出書房)-1 思いがけずに遺産を受け取り引きこもりになったオルディノフは「地下室」の人。 1847年の続き ドスト氏のたいていの小説は三人称一視点。三人称で客観性を持たせながら…

フョードル・ドストエフスキー「前期短編集」(福武文庫)「初恋(小英雄)」「クリスマスと結婚式」「ポルズンコフ」「弱い心」「鰐」

福武文庫版で前期短編集を読む。「罪と罰」より前に書かれたものを収録。すでに読んでいるので、初読の感想はリンクを貼った。ストーリーはリンク先の方が詳しい。 初恋(小英雄) 1857 ・・・ 11歳の少年が年上のマダムに憧れると同時に、退屈なマダムが少…

フョードル・ドストエフスキー「ネートチカ・ネズヴァーノヴァ」(KINDLE)-3 ダメ男の父を慕う幼女はむごい目に合う

米川正夫訳の「ネートチカ・ネズヴァーノヴァ」がKINDLEに入ったので再読。前回の感想は以下。2020/02/17 フョードル・ドストエフスキー「ネートチカ・ネズヴァーノヴァ」(河出書房) 1849年 読み直したら、前の感想はいろいろ誤っていた。訂正しながら新し…

フョードル・ドストエフスキー「ネートチカ・ネズヴァーノヴァ」(KINDLE)-4 虚弱体質で空想家の娘は他人をいらだたせる。女性ナラティブで書かれたドスト氏唯一の小説。

2025/02/18 フョードル・ドストエフスキー「ネートチカ・ネズヴァーノヴァ」(KINDLE)-3 ダメ男の父を慕う幼女はむごい目に合う 1849年の続き 第2部。両親に死なれたネートチカはH公爵家に引き取られる(お伽話のようなありえないできごと)。公爵が陰気で…

フョードル・ドストエフスキー「伯父様の夢」(河出書房) シベリア帰りの長編第一作は可能性の塊。

第1章と第2章のややこしい人物紹介でへこたれるのはもったいない。そこを乗り切れば、モルダーソフという村で起きた自尊心とペテンとやっかみのドタバタを笑いながら読めるのだから。初期ドスト氏はユーモア小説の書き手として登場したが、短編ではなかな…

フョードル・ドストエフスキー「ステパンチコヴォ村とその住民」(光文社古典新訳文庫) 加虐愛好者と被虐愛好者の共依存関係

ドスト氏の小説を再読しようとするとき、気が重くなる筆頭は本書の「ステパンチコヴォ村とその住民」(あと「ネートチカ」と「死の家の記録」)。なかなか手にする気になれなくて躊躇していたのを、半ば義務のような気分で読み始めた。ながい冒頭の「はじめ…

フョードル・ドストエフスキー「死の家の記録」(光文社古典新訳文庫)-第1部 貴族が監獄の囚人になるまでのイニシエーション

前回の米川正夫訳(河出書房版)から望月哲夫訳(光文社古典新訳文庫)に変えて再読。2013年に出た新訳は分りやすい。最新の研究も反映していて、参考になる(第1部終わりの芝居の原典探しなど)。 前回の感想は以下。再読の感想を書くために久しぶりに読み…

フョードル・ドストエフスキー「死の家の記録」(光文社古典新訳文庫)-第2部 貴族やインテリは民衆を理解しようとして挫折する

2025/02/11 フョードル・ドストエフスキー「死の家の記録」(光文社古典新訳文庫)-第1部 貴族が監獄の囚人になるまでのイニシエーション 1860年の続き 半年たって監獄に慣れた語り手は、第2部になって周囲に目を向け始める。貴族である語り手は、民衆である…

フョードル・ドストエフスキー「虐げられた人びと」(新潮文庫) 辱められ虐げられた人々の犠牲の上にある繁栄はただしいか。

前回と訳を変えて(米川正夫訳から小笠原豊樹訳)再読。前回の感想は以下。2020/02/04 フョードル・ドストエフスキー「虐げられし人々」(河出書房)-1 1861年2020/02/03 フョードル・ドストエフスキー「虐げられし人々」(河出書房)-2 1861年2020/01/31 フ…

フョードル・ドストエフスキー「地下室の手記」(光文社古典新訳文庫)-1 19世紀のネトウヨ分析

これまで米川正夫訳、江川卓訳で読んできて、3回目の再読は安岡治子訳にする。一人称が「わたし(米川訳)」、「ぼく(江川訳)」から「おれ」になる。このぶっきらぼうで、他者に対して高圧的で、自分を強く見せようとし、自尊心たっぷりの人称代名詞はこの…

フョードル・ドストエフスキー「地下室の手記」(光文社古典新訳文庫)-2 西洋的なものにアンチになるしかない地下生活者はなにもしないでおしゃべりばかり

2025/02/06 フョードル・ドストエフスキー「地下室の手記」(光文社古典新訳文庫)-1 19世紀のネトウヨ分析 1864年の続き 後半。語り手の「おれ」はその当時に流行っていた西洋思想を俎上にあげる。彼の批判の切り口はロシアの神秘主義と、民衆と直接交通し…

フョードル・ドストエフスキー「地下室の手記」(光文社古典新訳文庫)-3 おしゃべりしかできないネトウヨは社会的弱者を差別する

2025/02/04 フョードル・ドストエフスキー「地下室の手記」(光文社古典新訳文庫)-2 西洋的なものにアンチになるしかない地下生活者はなにもしないでおしゃべりばかり 1864年の続き 第2部はドスト氏の小説でもっとも不快な章なので、今回は飛ばし読み。前回…