odd_hatchの読書ノート

エントリーは3200を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2024/11/5

2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧

フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)第6部1.2 ポルフィーリィ、ラスコーリニコフに謎をかける

2025/01/06 フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)第5部5 辱められ「虐げられた人々」であるカチェリーナが乗りつぶされる 1866年の続き マルメラードフ一家の貧しい人々の話に決着がつき、ラスコーリニコフにはスヴィドリガイロフとポルフ…

フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)第6部3.4 スヴィドリガイロフ、好色で淫蕩な半生を語る

2024/12/27 フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)第6部1.2 ポルフィーリィ、ラスコーリニコフに謎をかける 1866年に続く ポルフィーリィが思いがけず退場してしまったので、ここからはスヴィドリガイロフとの思想闘争になる。曖昧にしかわ…

フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)第6部5.6 スヴィドリガイロフ、ドゥーニャに拒絶される

2024/12/26 フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)第6部3.4 スヴィドリガイロフ、好色で淫蕩な半生を語る 1866年の続き この二つの章はスヴィドリガイロフの物語。受け身だったドゥーニャの思いがけない自己主張がみられる。 5.ふたりは安…

フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)第6部7.8 ラスコーリニコフは十字架の道を歩む

2024/12/24 フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)第6部5.6 スヴィドリガイロフ、ドゥーニャに拒絶される 1866年の続き 「家族の縁を切ってきた」しラズミーヒンにもお別れを言ったし、ルージンは故郷にかえってしまい、家長が死んだマルメ…

フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)エピローグ  旋毛虫の夢と新しい人間の誕生

2024/12/23 フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)第6部7.8 ラスコーリニコフは十字架の道を歩む 1866年の続き 第1部から第6部までは13日間の物語(訳者による)。エピローグはその一年半後からはじまる。 1.ラスコーリニコフは裁判で正…

フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)感想1 ラスコーリニコフの犯罪はヘイトクライム

2024/12/20 フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)エピローグ 旋毛虫の夢と新しい人間の誕生 1866年の続き 訳者(江川卓)の解説冒頭が松本健一「ドストエフスキーと日本人(朝日選書、レグルス文庫)」のわかりやすい要約になっているので…

フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)感想2 ラスコーリニコフは家族と定職と金を捨てて「新しい人間」になりたかった

2024/12/19 フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)感想1 ラスコーリニコフの犯罪はヘイトクライム 1866年の続き かつての読書では、ラスコーリニコフの「罪と罰」とはなにか、「踏み越え」とは何かといっしょけんめいかんがえたものだが、…

フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)感想3 踏み越えを果たした「新しい人間」が社会を変える

2024/12/17 フョードル・ドストエフスキー「罪と罰 下」(岩波文庫)感想2 ラスコーリニコフは家族と定職と金を捨てて「新しい人間」になりたかった 1866年の続き ではどうするか。ここからエピソード以降のラスコーリニコフを空想する。 ラスコーリニコフは…

北村透谷のフョードル・ドストエフスキー「罪と罰」評(1892年) 日本で最初にドストエフスキーに取り憑かれた明治時代の人。

北村透谷(1868-1894)の「罪と罰」評が青空文庫にあるので、読んでみた。 透谷が読んだのは1892年にでた内田不知庵(魯庵)訳の第1巻。透谷の文章を見ると、第1部までの翻訳。松本健一「ドストエフスキーと日本人」によると、1893年に第2巻がでて中絶。大正…

米川正夫のフョードル・ドストエフスキー「罪と罰」解説(河出書房) ラスコーリニコフを「西欧的個人主義者」とみなしたので、読みそこなった

米川正夫は20世紀初頭にでたロシア文学翻訳者。最初にロシア文学を翻訳したのは二葉亭四迷らだったが、米川はその次の世代。大正時代にでた最初のドストエフスキー全集の翻訳で活動を開始。戦後には個人訳全集を河出書房から出した。「罪と罰」の新潮文庫は1…

チャールズ・ディケンズ「クリスマス・キャロル」(青空文庫) イギリスのユダヤ人同化主義礼賛小説。読むに堪えない。

ドストエフスキー「罪と罰」で改心のことを考えていて、そういえば改心がテーマの小説に「クリスマスキャロル」があったと思いだし、青空文庫で森田草平による戦前訳を入手した。 だめだ、読めない。ひどい内容だ。スクルージに代表されるユダヤ人が、有形無…

中村文則「掏摸」(河出文庫) 神による救い、神を中心にした共同体がない時代と場所でドスト氏の「罪と罰」は可能か

松本健一「ドストエフスキーと日本人」(朝日新聞社)は1990年ころで記述を終えているが、21世紀の章を書けば、本書は必ず登場する。キャラにラスコーリニコフのことを度胸がなかったといわせているくらいだから。他にも「罪と罰」とリンクしている、シンク…

フョードル・ドストエフスキー「賭博者」(河出書房)-2 「別の人間」になるための賭博に負けると「滅んだ人間」と自認せざるを得ない。世界放浪中のスタヴローギン@悪霊を彷彿させる。

同時期に書かれた「罪と罰」のラスコーリニコフは金には淡白で手元に金を残さなかった。こちらは彼を逆に金にうるさく、汚い人々たちばかり。収入がなく借金をもつことは罰なのか。賭博に興じることは悪なのか。なぜ金は問題になるのか。 再読。前回の感想に…

フョードル・ドストエフスキー「白痴 上」(新潮文庫)第1編1-5 女好き・神がかり・金儲けの欲望を持たない天使人間が汽車にのってペテルブルクにやってくる。

前作「罪と罰」では、神を超える人間になろうとするラスコーリニコフを描いた。神を超えるために、ラスコーリニコフは女好き、神がかり、金儲け(修道僧ラキーチンがカラマーゾフ家を評したことば)の欲望を自らに禁止した。でもラスコーリニコフの試みは失…

フョードル・ドストエフスキー「白痴 上」(新潮文庫)第1編6-11 天使人間、ナスターシャを中心にする三角関係に巻き込まれる。

2024/12/05 フョードル・ドストエフスキー「白痴 上」(新潮文庫)第1編1-5 女好き・神がかり・金儲けの欲望を持たない天使人間が汽車にのってペテルブルクにやってくる。 1868年の続き 男が結婚するためには持参金を用意しなければならない。なので好色と…

フョードル・ドストエフスキー「白痴 上」(新潮文庫)第1編12-16 ナスターシャの部屋。集まった人々が事件を持ち込み、この世を浄化する炎が舞い上がる。

2024/12/03 フョードル・ドストエフスキー「白痴 上」(新潮文庫)第1編6-11 天使人間、ナスターシャを中心にする三角関係に巻き込まれる。 1868年の続き 第1部の終わりは怒涛の展開。ナスターシャの部屋に人が集まっていて、そこに客が来るごとに事件を持…