odd_hatchの読書ノート

エントリーは3400を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2025/9/26

2026-02-01から1ヶ月間の記事一覧

マーヴィン・ピーク「タイタス・グローン」(創元推理文庫)-2 折檻される少年は頭脳と舌先三寸で権力を奪取しようとし、77代当主になるべく運命付けられた幼児は権威の象徴を湖に捨てる。

2026/03/02 マーヴィン・ピーク「タイタス・グローン」(創元推理文庫)-1 1500年も続くグローン家。誰もが憂鬱と倦怠のデカダンスにある。 1948年の続き 邦訳で650ページの大長編。でもストーリーはなかなか進まない。 十数年ぶり(フューシャの誕生以来…

マーヴィン・ピーク「ゴーメンガースト」(創元推理文庫)-1 城の伝統から脱出したいタイタスは〈外〉への抜け道を発見し、城の伝統を乗っ取りたいスティアパイクは顔にスティグマをつける。

2026/02/27 マーヴィン・ピーク「タイタス・グローン」(創元推理文庫)-2 折檻される少年は頭脳と舌先三寸で権力を奪取しようとし、77代当主になるべく運命付けられた幼児は権威の象徴を湖に捨てる。 1948年の続き 「ゴーメンガースト」シリーズ第2巻はタ…

マーヴィン・ピーク「ゴーメンガースト」(創元推理文庫)-2 城が水没しそうな洪水に襲われ、城が築いてきたヒエラルキーが破壊され、タイタスは自由と独立を求める。

2026/02/26 マーヴィン・ピーク「ゴーメンガースト」(創元推理文庫)-1 城の伝統から脱出したいタイタスは〈外〉への抜け道を発見し、城の伝統を乗っ取りたいスティアパイクは顔にスティグマをつける。 1950年の続き さてすでにゴーメンガースト城は異変続…

マーヴィン・ピーク「タイタス・アローン」(創元推理文庫)-1 脱出した先の社会は無機質で無関心で、ゴーメンガースト城を誰も知らない。注目されないタイタスは不満。

2026/02/25 マーヴィン・ピーク「ゴーメンガースト」(創元推理文庫)-2 城が水没しそうな洪水に襲われ、城が築いてきたヒエラルキーが破壊され、タイタスは自由と独立を求める。 1950年の続き ゴーメンガースト城から降りたタイタスは長い湿地や草原を抜け…

マーヴィン・ピーク「タイタス・アローン」(創元推理文庫)-2 教養小説の主人公になりうるタイタスは挫折してばかりで、成長の儀式を終えられない。

2026/02/24 マーヴィン・ピーク「タイタス・アローン」(創元推理文庫)-1 脱出した先の社会は無機質で無関心で、ゴーメンガースト城を誰も知らない。注目されないタイタスは不満。 1959年の続き 再び地上に出たタイタスは〈科学者の娘〉チータァと出会い、…

坂口安吾(探偵小説) INDEX

2011/10/12 坂口安吾「不連続殺人事件」(角川文庫) 2017/09/05 坂口安吾「能面の秘密」(角川文庫) 1955年 2017/09/06 坂口安吾「復員殺人事件」(青空文庫) 1949年 2017/09/07 坂口安吾「坂口安吾全集 12」(ちくま文庫)-「明治開化安吾捕物帖」1 19…

坂口安吾「不連続殺人事件」(青空文庫) この探偵小説の真骨頂は本文と附記の相剋にある。ストーリーと読者の間に作者がしゃしゃりでて推理の過程を実況中継する。

人生三回目の読み直しとなると、もはや犯人当てや謎解きで驚愕はしない。その代わりに、安吾の書き方に発見があった。 そのまえに、ストーリーは前回の感想を参照。 odd-hatch.hatenablog.jp 登場人物が多すぎて、わけがわからなくなると思う。相関図が必要…

岡本綺堂 INDEX

2026/02/19 岡本綺堂「中国怪奇小説集」(青空文庫) 探偵や幽霊ハンターはいない世界での怪談。 1935年2026/02/18 岡本綺堂「修禅寺物語・正雪の二代目―他四篇」(岩波文庫) 大衆向け戯曲の手本。 1911年2026/02/17 岡本綺堂「青蛙堂鬼談」(青空文庫) 日…

岡本綺堂「中国怪奇小説集」(青空文庫) 探偵や幽霊ハンターはいない世界での怪談。

「世界怪談名作集」では近代(19世紀以降)のヨーロッパ(主に英米)の怪談を集めた綺堂、こんかいは中国の怪談を集める。昭和10年のこととあっては、中国の地は乱れ政権不安定で出版もほとんどないとすれば(それは大日本帝国が軍隊を派遣し、中国の地を荒…

岡本綺堂「修禅寺物語・正雪の二代目―他四篇」(岩波文庫) 大衆向け戯曲の手本。

岡本綺堂の戯曲傑作集。藤原時代から幕末にかけて、列島の歴史を一望する。上演当時(タイトルのあとの年号)は、観客読者は登場人物の故事来歴、当時の風俗世相などをよく知っていて、説明なしで理解したのだろう。そういう時代劇や歴史ものの伝統や知識は1…

岡本綺堂「青蛙堂鬼談」(青空文庫) 日本の怪談に西洋ホラーを移植する実験。日本のものにしろ西洋のものにしろ、怪奇を語ることは差別を表明すること。

岡本綺堂は「田舎の金持ち」作家(中村光夫「日本の近代小説」)。生活の苦労がないので、小説には悪人が出てこないし、社会や政府への不満や悪口はない。気遣いの善い人が上品な語り口で物語る。都会のあわただしさや軽薄さには距離を置く。海外への関心を…

岡本綺堂「異妖の怪談集・近代異妖編」(青空文庫)-2 西洋怪談を日本に移植しようとする試み。失敗がかえって日本怪談の特長をあぶりだす。

「青蛙堂鬼談」が評判よかったのか、同じ百物語形式で日本の怪談を書く。百物語に参加していると思われる語り手が自分の体験談として語る。たいていは田舎出身で都会に出ていった青年。彼が久しぶりに帰省したときに聞いたり調べたりしたこととして話す。192…

岡本綺堂「飛騨の怪談、番町皿屋敷」(青空文庫) 戦前の伝記小説は武士道讃美の体制翼賛ばかり。さまざまな差別を助長して攘夷を正当化する。

岡本綺堂の長編怪談。「青蛙堂鬼談」「異妖の怪談集・近代異妖編」よりあとの作だが、読む順番は逆。代表作「青蛙堂鬼談」で落胆したのだが、こちらの長編はどうか。 飛騨の怪談1913 ・・・ 20世紀の変わり目頃の飛騨山中。地元名家の生まれの市郎。冬子とい…

岡本綺堂「半七捕物帳 1~7」(青空文庫) 1916年に連載開始された捕物帳は怪談が日常の世界にひとりだけ合理主義者がいる世界の小説。

都筑道夫激賞の岡本綺堂「半七捕物帳」を読む。「なめくじ長屋」の序文だったかあとがきだったか、あるいは「都筑道夫の読(ドク)ホリデー」なんかで何度も書いているので、興味のある人は読んでおきましょう。都筑は「なめくじ長屋」を書く前に「半七捕物…

岡本綺堂「半七捕物帳 8~14」(青空文庫) 岡っ引きは武士と町人の間で治安維持のために監視する職。

2026/02/12 岡本綺堂「半七捕物帳 1~7」(青空文庫) 1916年に連載開始された捕物帳は怪談が日常の世界にひとりだけ合理主義者がいる世界の小説。 の続き 江戸時代のような封建制の社会は、三重構造になっていた。幕府のような中央政府は全領土を直接統治す…

岡本綺堂「半七捕物帳 15~21」(青空文庫) 不可解事件が続出するのに綺堂はそのことを書かない。事件の関係者の複雑さに注目する。

2026/02/11 岡本綺堂「半七捕物帳 8~14」(青空文庫) 岡っ引きは武士と町人の間で治安維持のために監視する職。 の続き 半七にはさまざまな種類の犯罪の情報が入ってくる。ときには雲をつかむような目星をつけがたい事件もやってくる。でも半七は悩まない…

岡本綺堂「半七捕物帳 22~28」(青空文庫) 「物語の背景をなしている江戸のおもかげの幾分をうかがい得られる」ために書かれた捕物帳は探偵小説に似ているが異なる。

2026/02/10 岡本綺堂「半七捕物帳 15~21」(青空文庫) 不可解事件が続出するのに綺堂はそのことを書かない。事件の関係者の複雑さに注目する。 の続き 「半七捕物帳」の意図が書いてあった。 改めて云うまでもないが、ここに紹介している幾種の探偵ものが…

岡本綺堂「半七捕物帳 29~35」(青空文庫) 怪談と探偵小説の親和性について

2026/02/09 岡本綺堂「半七捕物帳 22~28」(青空文庫) 「物語の背景をなしている江戸のおもかげの幾分をうかがい得られる」ために書かれた捕物帳は探偵小説に似ているが異なる。 の続き ここでは第29話から第35話までを読む。 綺堂によると、江戸時代の人…

岡本綺堂「半七捕物帳 36~42」(青空文庫) 明治政府は武家政権を総否定した。江戸の風物・習俗は忘れられたが、数奇人は記録に残す。

2026/02/06 岡本綺堂「半七捕物帳 29~35」(青空文庫) 怪談と探偵小説の親和性について の続き 謎解きよりも江戸人の日常を描くことが主眼なのがわかる。ホームズをもくろんでるらしいとみたが、綺堂が注目するのは意外な犯人やトリックではなく、ロンドン…

岡本綺堂「半七捕物帳 43~49」(青空文庫) 半七は威嚇や暴力で自白強要を迫る特高や憲兵みたいな治安維持担当者。

2026/02/05 岡本綺堂「半七捕物帳 36~42」(青空文庫) 明治政府は武家政権を総否定した。江戸の風物・習俗は忘れられたが、数奇人は記録に残す。 の続き 筒井康隆「富豪刑事」では、その警察署は理想的な民主警察なので、取り調べで自白強要や誘導はしない…

岡本綺堂「半七捕物帳 51~56」(青空文庫) 新劇が出て古い芝居の人気がなくなった時期に、綺堂が古い芝居の形式で小説を書く。

2026/02/04 岡本綺堂「半七捕物帳 43~49」(青空文庫) 半七は威嚇や暴力で自白強要を迫る特高や憲兵みたいな治安維持担当者。 の続き 青空文庫なので初出情報はない。でも、「かむろ蛇」は1935年の発表。とても息の長い連載です。 半七は芝居好き。隠居し…

岡本綺堂「半七捕物帳 57~63」(青空文庫) 半七は犯人を捕まえるが、事件のトリックと動機は捜査しない。目付の半七の権限や役目ではないから。捕物帳は警察小説の一種。

2026/02/03 岡本綺堂「半七捕物帳 51~56」(青空文庫) 新劇が出て古い芝居の人気がなくなった時期に、綺堂が古い芝居の形式で小説を書く。の続き 捕物帳と探偵小説の大きな違い。ここでいう捕物帳は半七捕物帳に限る。探偵小説では、探偵は事件の犯人を捕…