odd_hatchの読書ノート

エントリーは3400を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2025/9/26

2026-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ウィリアム・F・バイナム「若い読者のための科学史」(すばる舎) 神と霊で世界を説明する自然哲学から、物質だけで世界を説明する科学へ。16から17世紀にかけてヨーロッパは大転換した。

「イェール大学出版局 リトル・ヒストリー」という叢書のひとつ。本書は放送大学の科学の講座「初歩からの物理」「初歩からの化学」「初歩からの生物学」を受講(見るだけでもよい)する際の優れたサブテキストになる。それぞれの講座では、なぜその考えが生…

志賀浩二「数学史入門 」(講談社学術文庫) 幾何と算術を始めた文明には、エジプト、インド、アラビア、中国などがあるが、数学にしたのはヨーロッパだけ。微積分を発明したから。

放送大学の「初歩からの数学」をみた。高校で3年かけて学んだことが、約10時間の講座にコンパクトにまとめられていた。高校生の時には、個々の単元はばらばらでつながりを見出せなかったが、この講座ではなるほどその順番で学ばないといけないのがわかる。…

端山好和「自然科学の歴史」(講談社学術文庫) ニュートン以降はパラダイムの変遷で理解できる。それより前は「存在の大いなる連鎖」の書き換えで、思想と哲学のせめぎあい。

学びなおしのために、放送大学で「初歩からの物理」「初歩からの化学」「初歩からの生物学」(各45分×15回)を視聴した(ただし単位は取得していない)。高校の授業を復習し、最新の知見を知るのに格好だった。俺が高校の授業を受けたのは半世紀近く前なので…

古川安「科学の社会史 ──ルネサンスから20世紀まで」(ちくま学芸文庫) 科学の勃興から20世紀末までの社会と科学の関係を明らかにする基本文献。

科学の通史を、新しい知見の変遷や科学者の行動などで書かない。社会や制度の変化を交えて描く。合わせて、人びとの通念の変化として描く。 そうするとどこに起点を置くかだが、科学はヨーロッパで生まれたもので、次第に周囲に拡散していったと考える。そう…

橋本毅彦「「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》 」(講談社学術文庫) 標準化は世界を便利にしたが、他人のルールや評価に強制的に従う「疎外」も生んだ。

歴史の本を読むと、天才や努力家が何かを発明・発見しました、その結果、生活がよく(便利に、楽に、安価になど)なりましたという話がたくさんでてくる。こういう話ではその途中がすっかり忘れられてしまう。発明や発見を具体的な製品に落とし込み、大量生…

天野郁夫「大学の誕生 上下」(中公新書) 明治大正期の高等教育制度改革の変遷。需要や予算にあわせて合理的な選択をしたが、帝国大学一校トップという方針は堅持された。

教育社会学の研究者が、開国以後の高等教育の制度化を調査する。時代は明治初年から1912年の大正時代の始まりまで。公的な高等教育という考えがなかった国に、大学その他学校という組織を作り、法を整備し、学制を構築するまで。これ以降の大学の歴史は…

中山茂「帝国大学の誕生」(講談社学術文庫) 維新から明治が終わるまでの大学史。日本の教養主義は高等教育政策と社会運動の影響をみないといけない。

天野郁夫「大学の誕生 上下」(中公新書)は大学の制度史。それだと政府の思惑が見えてこないので、中山茂による帝国大学史を読む。1966年と古いが内容は充実。元は中公新書だったが、講談社学術文庫に入った。 中山茂(1928~2014)の経歴。卒業後、平凡社…

牧野富太郎「自叙伝」「植物記」「植物知識」(講談社学術文庫) 牧野のバイオグラフィーから大日本帝国の高等教育政策がみえてくる。

NHK「連続テレビ小説」に著者をモデルにした「らんまん」2023年が放送された。きちんとみていなかった。そこで、自叙伝他で彼のバイオグラフィーを知る。日本で博物学者を生きることは極めて困難だが、それをやり遂げてしまった。他にも数人はいるだろうが、…

大野英士「オカルティズム 非理性のヨーロッパ 」(講談社選書メチエ) 近代化と西洋化は神を殺したが、人は霊魂の不滅を信じたい。

怪談を楽しんだり、トンデモをバカにしたりするのに、オカルティズムの知識は必要。断片的にしかしらなかったので、本書を入手した。著者は本書を上梓するにあたって数百冊の資料を読み込んだらしい。なんと膨大。それくらいに人びとはオカルト思想に魅了さ…

メアリー・シェリー「フランケンシュタイン」(青空文庫) ヴィクトルはプロメテウス、怪物は火。火を扱えない人類は苦悩し痛みを感じる。

英国怪奇小説をまとめて読んでいる過程で、この重要作を読み直す。ゴシックロマンスを怪奇小説(ホラー)に変換した。読んだのは青空文庫にある1953年の翻訳。物語のサマリーは下記リンクを参照。 odd-hatch.hatenablog.jp とはいえ、読んでいて気分が悪くな…

ジョン・ポリドリ「吸血鬼」(青空文庫) 民話のバンパイアは農民の不死者だったが、本作から貴族出身で血を吸うものになった。

世界で最初の「吸血鬼」小説とされるもの。1819年。 孤児だが多額の資産をもっているオードブリ青年が、老人ルスヴン卿に関心をもつ。彼は社交界ですこぶる評判が悪い。純真な乙女に取り入ってねんごろになるが、すぐに飽きて女を侮辱して捨ててしまうのだ。…

岡本綺堂 INDEX

2026/05/14 岡本綺堂「世界怪談名作集1」(青空文庫)-1 ブルワー・リットン卿「幽霊屋敷と幽霊ハンター」 世界システムの覇権国に脅威をもたらすものと秩序を守るものの対決。 1929年2026/05/13 岡本綺堂「世界怪談名作集1」(青空文庫)-2 プーシキンと…

岡本綺堂「世界怪談名作集1」(青空文庫)-1 ブルワー・リットン卿「幽霊屋敷と幽霊ハンター」 世界システムの覇権国に脅威をもたらすものと秩序を守るものの対決。

岡本綺堂編訳の「世界怪談名作集」を読む。昭和4年1929年初出。世界の怪談の邦訳は明治13年(1881年)からあるが(下記井上勤訳の「龍動(ロンドン)鬼談」)、余程の好事家だけのものだった。それより「牡丹灯籠」「真景累が淵」「番町皿屋敷」のような…

岡本綺堂「世界怪談名作集1」(青空文庫)-2 プーシキンとディケンズ、怪談として読むか世界文学として読むか。

2026/05/14 岡本綺堂「世界怪談名作集1」(青空文庫)-1 ブルワー・リットン卿「幽霊屋敷と幽霊ハンター」 世界システムの覇権国に脅威をもたらすものと秩序を守るものの対決。 1929年の続き 今から見直すと、岡本綺堂が選択した西洋怪談(一編だけ中国産)…

岡本綺堂「世界怪談名作集2」(青空文庫)-1 19世紀の怪談の恐怖の源泉は不死者ノスフェラトゥ。最後の審判で救われないものに誘惑されると天国に行けないから。

2026/05/13 岡本綺堂「世界怪談名作集1」(青空文庫)-2 プーシキンとディケンズ、怪談として読むか世界文学として読むか。 1929年の続き 19世紀の怪談、怪奇小説を読むと、恐怖の源泉になっているのは不死者(アンデッド)なのがわかった。不死者は殺害さ…

岡本綺堂「世界怪談名作集2」(青空文庫)-2 怪談は女性嫌悪をあらわにする。(付)メスメリズムについて

2026/05/12 岡本綺堂「世界怪談名作集2」(青空文庫)-1 19世紀の怪談の恐怖の源泉は不死者ノスフェラトゥ。最後の審判で救われないものに誘惑されると天国に行けないから。 1929年の続き 19世紀の怪談、怪奇小説を読みふける。でもここまで来ると、怪異に…

エドガー・A・ポー INDEX

エドガー・A・ポー INDEX

エドガー・A・ポー「探偵小説短編集」(青空文庫) 犯罪を起こすような特異な人(アノマリー)が都市の秘密を暴くことをポーは発見した。

21世紀になって新潮文庫のエドガー・A・ポーが巽孝之氏による新翻訳になった。そのために、昭和にでていた佐々木直次郎訳がパブリックドメインになった。青空文庫で手軽に読めるようになったので、なつかしさのあまり再読する。このエントリーでは探偵小説と…

エドガー・A・ポー「ゴシック・怪奇短編集」(青空文庫) 不死者アンデッド、分身、メスメリズムと催眠術。ポーの怪談は多種多様。

2026/05/08 エドガー・A・ポー「探偵小説短編集」(青空文庫) 犯罪を起こすような特異な人(アノマリー)が都市の秘密を暴くことをポーは発見した。 の続き 21世紀になって新潮文庫のエドガー・A・ポーが巽孝之氏による新翻訳になった。そのために、昭和に…

エドガー・A・ポー「催眠術の啓示」(創元推理文庫) 「存在の大いなる連鎖」に基づくポーの宇宙と霊魂の考え。この延長に「ユリイカ」があるはず。

2026/05/07 エドガー・A・ポー「ゴシック・怪奇短編集」(青空文庫) 不死者アンデッド、分身、メスメリズムと催眠術。ポーの怪談は多種多様。 の続き 「催眠術の啓示」1844.08を読みたいのだが、青空文庫にはなかったので、創元推理文庫で再読。とてもおも…