2025-04-01から1ヶ月間の記事一覧
現代正義論にはさまざまなバリエーションがある。6つの傾向に分けて概略を説明する。通常、正義論や道徳論で扱われるホッブスやベンサム、カントなどは登場しない。というのは現代正義論は、それ以前の正義や道徳を説明する功利主義や格率主義の批判から生…
NHK「100分de名著」のローティ「偶然性・アイロニー・連帯」の回がおもしろかった。そこでローティに関心を持った。でも原著を読んでもちんぷんかんぷんになると思ったので、解説書を読む。予想通りほとんどわからなかった。 著者の渡辺氏はローティをロ…
戦後に書かれた論文とエッセーを収録。矢野久美子「ハンナ・アーレント」(中公新書)にあるように、ヨーロッパを逃れてアメリカに定住するようになったアーレントはアメリカに希望と幻滅を見出す。本書に収録されたは1950年代以降のもので、アメリカは主題…
2021/11/29 川崎修「ハンナ・アレント」(講談社学術文庫)-4 2014年の続き 前回の読書から4年たって中身を忘れてきたので、再読した。このエントリーでは「全体主義の起源」を解説する章のメモを取る。 前回の感想はリンクの通り。2021/12/03 川崎修「ハン…
2025/04/22 川崎修「ハンナ・アレント」(講談社学術文庫)-5 全体主義は市民権を得た者を法体系から改めて追放する運動体(藤田省三) 2014年の続き さて前回も難解だった後半を読む。「革命について」「人間の条件」などを読む。とりあえず、前回の感想。…
アーレントの考えは「全体主義の起源」の解説書を二冊を読んだので、大筋はだいたいつかめたかなと思っていたら、とんでもない大間違いだった。別の人の読み取りを参照してみると、自分が読み取れなかったこと・実は重要であったことが大量にあることがわか…
続いて後半。ソクラテスやカントなどを参照して道徳を考えるのだが、ここは自分には難解。20世紀の国際情勢や時事問題などを参照しているところはわかりやすいのだが。なので、以下のサマリーでは過去の哲学者を参照しているところは割愛。 第2章 公的な領…
著者によるとアーレントは読者を「わかったつもりにさせない」し、「明晰な思考」を提示することもない。アクチュアルな話題(全体主義、アイヒマン裁判、リトルロック高校事件など)でもアリストテレスやカントに由来する抽象的な概念を持ち込んでピンとこ…
これまで自分はアーレントを全体主義の分析者、「革命」の再解釈者として読んでいたので、ここで書かれていることにはびっくりしっぱなし。自分が読み取れずに放置してしまったところが、この人の真骨頂なところでした。(論者によってフォーカスするところ…
NHK教育「100分de名著」でアーレント「全体主義の起源」を取り上げたときのテキストを補筆したもの。取り上げたのは「全体主義の起源」と「イェルサレムのアイヒマン」。 序 章 『全体主義の起原』はなぜ難しいのか? ・・・ アーレントの生涯。「全体主義」…
1949年2月10日、汐留駅の小口貨物受取所で異臭のするトランクが見つかった。警官立ち合いのもとに開封すると、中から藁にまみれた中年男の死体が見つかった。荷札に書かれた受取人と差出人から直ぐに事件は解決するかと思われた。しかし、捜査は行き詰まる。…
書肆がややこしい。1957~58年に雑誌連載したときは「りら(ひらがな)荘事件」。出版社を変えて何度か再販されたときに著者の意向とは無関係に「リラ(カタカナ)荘殺人事件」と改題された。さらに1968年の再刊にあわせて著者は改訂した。その結果、タイト…
昭和50年代、青山霊園付近で起きた幼女殺害事件。行きずりの仕業と思えたが、丹念な聞き込みによって、犯人の一人暮らしの初老男性を逮捕することができた。彼は古いマイセルのドイツ人形を大切にしていて、陽にあたることを嫌う不思議な男だった。そのう…
博物学の写真家・亜愛一郎の探偵譚シリーズ第1巻。解説によると、冒頭の「DL2号機事件」は雑誌「幻影城」の新人賞に応募して佳作になった作。その後オファーがあってこの短編集に収録された短編を発表し、プロデビューした。ただ家業の職人を止めなかっ…
2025/04/7 泡坂妻夫「亜愛一郎の狼狽」(創元推理文庫) 昭和40年代以降の地方の大規模開発でできた施設で起きた不可思議犯罪の数々。 1978年の続き 博物学の写真家・亜愛一郎の探偵譚シリーズ第2巻。初出は1982年。なので、時代背景が21世紀とは異なるので…
2025/04/7 泡坂妻夫「亜愛一郎の狼狽」(創元推理文庫) 昭和40年代以降の地方の大規模開発でできた施設で起きた不可思議犯罪の数々。 1978年2025/04/04 泡坂妻夫「亜愛一郎の転倒」(創元推理文庫) 不可能犯罪の謎が解明されただけでは小説は完結しない。 …
聞いたことのない作家。第8回鮎川哲也賞最終候補作に手を入れて、この文庫版で1998年に出版されたらしい。そのときに作者は25歳だったようで、さまざまな設定は作者の身近からの発想なのだろう。語り手は大学院生で、名探偵は学生。中小企業の社長は高価な輸…