2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧
オレステイア三部作の第二作。アガメムノン伝説に基づくもので、アガメムノンの子どもたちが父殺しをした母とその愛人を復讐するまでを描く。今回は内山敬二郎訳で読んでいるので、タイトルは「灌奠(かんてん)を運ぶ女たち(コエーポロイ)」。別タイトル…
オレステイア三部作の第三作。アガメムノン伝説に基づくもので、復讐を遂げたオレステスのその後。今回は内山敬二郎訳で読んでいるので、タイトルは「仁慈なる女神たち(エウメニデス)」。別タイトルでは「慈しみの女神たち」。 復讐を遂げたオレステスは錯…
ソポクレス(紀元前497/6年ごろ – 406/5年ごろの冬)が書いた劇は120を超えると推測されるが、長い年月の間に失われ、現存しているのは7編。そのうち有名なのは「オイディプス王」。日本では20世紀になってから翻訳が進んでいる。ちくま文庫の「ギリシャ悲劇…
古代ギリシャの都市テーバイ。禍いが自らにあると知ったオイディプス王は目をつぶし町をでた(「オイディプス王」)。荒野を放浪して横死する(「コロノスのオイディプス」)。テーバイはオイディプスの息子エテオクレスが治めていたが、その兄エリュネイケ…
ヘラクレスはギリシャ神話の勇士。さまざまな土地に冒険しては、怪物や邪神、害獣などを退治してきた。その冒険は有名であり、のちの西洋文学に影響を残す。2020/07/28 アガサ・クリスティ「ヘラクレスの冒険」(ハヤカワ文庫)-1 1947年2020/07/27 アガサ・…
干支が一周してからの読み直し。この高名な戯曲のサマリーと前回の感想は以下。ソポクレス「オイディプス王」(岩波文庫) 今回はオイディプスの自己発見ではなく、彼のミスについて。冒頭で予言者はこの「事件」の真相を明らかにする。それをオイディプスは…
複数回読んでいるにもかかわらずソポクレス「オイディプス」は歯ごたえがありすぎて、自分の感想も皮相に過ぎると思っていた。そこで、ギリシャ悲劇の泰斗による解説を読む。 まず前提になるのは、ソポクレスがこの悲劇をかいたBC427年の状況。ペロポネソス…
2025/09/22 吉田敦彦「オイディプスの謎」(講談社学術文庫)-1 スピンクスの謎とその問いはオイディプス自身を指している。 1995年の続き スピンクス(ママ)の謎はそれ自体が単体で有名になっている。なので、オイディプスが正しく答えても、それはクイズ…
wikiも参照してサマリーをつくる。 トロイア戦争が始まる前、神々の命に応じて勇士アガメムノンは娘のイーピゲネイアを生け贄として殺した。このことを妻クリュタイメストラは深く恨んでいた。アガメムノンは情婦を連れて帰ってきたので、情夫アイギストスと…
「コロノスのオイディプス」と並んで上演年がわかっている最晩年作。上演は紀元前409年で、ソポクレスの死後だった。 「トラーキスの女たち」事件でヘラクレスは亡くなったが、その弓は盟友ピロクテテスに託されていた。おりしもオデュッセウスらととおもに…
オイディプス一族を主人公にするテーバイ3部作。物語の流れでは第2作になるが、上演されたのはソポクレス死後の紀元前401年なので最晩年の作と考えられている。 前作「オイディプス王」で父殺しと近親相姦の罪があることを認めたオイディプスは自らの命…
ソフィストは詭弁家、空虚な論理の使い手、金のための教育者、青年の腐敗者と批判されている。それは正しいのか。もとは「ソクラテスの弁明」や一連のプラトンの著書にその種のことが書かれている。他にも同時代の文書を調べることによって明らかにする。 そ…
解説によると、クセノポンはソクラテスの40~50歳年下。若いころにソクラテスと出会って問答したら、ソクラテスの話を聞くようになった。解説によると以下とのこと。 「クセノポンがソクラテスに引かれたのは、ソクラテスの言行の中に、あるいはその言行を生…
昭和に高校で哲学を学んだ者にとっては、ソクラテスは職業教育者で詭弁を弄するソフィストとは違っていて、(訴追理由はよくわからないが)アテナイの民会で裁判を受け死刑になったのであり、彼が哲学を作ったのであり、その方法は対話術で、思想の核心は「…
ギリシャ悲劇を読みだしてから古代ギリシャを知るべくいくつかを読んできたが、そこでの感想は古代ギリシャの民主制はたいしたことないな、欠点ばかりじゃねえか、というものだった。タイトルで引かれた本書も最初はすでに知っていることの繰り返しだったの…
橋場弦「古代ギリシアの民主政」(岩波新書)では、ソクラテス裁判以降に民主政は最盛期を迎えたと指摘している。でも当該書では詳細が書かれなかったので、タイトルを見て読んだ。 たしかに前338年から前322年にかけて民主政が行われていた。俺が見るところ…
アテナイに住む市民は大量のテキストを残した。スパルタはテキストを書くことに価値を見出さなかったので、ほとんど資料は残っていない。そのために周辺のポリスやローマなどで書かれたもので推測するしかない。一方で、スパルタの体制は近世になってから理…
ギリシャ悲劇の解説と数冊の哲学書(とその解説)では古代ギリシャの民主制の知識はつまみ食いにしかならないなあ、と思って、歴史書の解説書を読む。著者の本はすでに何冊か読んでいた。本書はおそらく講談社現代新書の世界史叢書の一冊。 タイトルのように…
2025/09/05 弓削達「地中海世界 ギリシア・ローマの歴史 」(講談社学術文庫)-1 ギリシャの民主制は奴隷制と外国人排斥と植民地収奪で衰退する。 1973年の続き 後半はローマ編。あいにく俺はローマ帝国にあまり関心を持たない。なので、このエントリーは簡…
これまでに「ソポクレス全作品集」、吉田敦彦「オイディプスの謎」(講談社学術文庫)、田中美知太郎「ソフィスト 」(講談社学術文庫)を読んできた(それ以前にプラトン「ソクラテスの弁明」なども読了)。さらに古代ギリシャに当たりをつけるように、本書…
テオドール・シュトルムは1817年生まれ1888年没。クラシックマニアからすると、リスト(1811-1886)やワーグナー(1813-1883)の同世代人。別に仕事を持っていて余暇に文筆活動をした人で、この短編集に収められたのは彼が30代の作品だ。とても甘いロマンテ…
1990年代初頭に角川文庫が長らく絶版・品切れになってたカフカをまとめて復刊した。全部買ったのだが、1950年代の翻訳はどうにも読みづらい。おかげで翻訳者はもちろん、カフカにも悪印象を持つようになってしまった。ずっと敬遠。 でも、中編「変身」ならば…