odd_hatchの読書ノート

エントリーは3400を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2025/9/26

竹本健治

竹本健治「匣の中の失楽」(講談社文庫)-2 キャラは人形に模されている。では誰が人形遣いになれるのか。

2011/11/07 竹本健治「匣の中の失楽」(講談社文庫)の続き 3度目の読み直し。今回は細部にこだわりたいと思って、リンクのサマリーを参考にしました。節ごとに概要をまとめられています。労多謝。 longfish801.github.io ストーリーを見る前に、キャラを確…

竹本健治「匣の中の失楽」(講談社文庫)-3 枠がない小説内小説という体裁は、作中で繰り返される「ワトソン探し」に対する解答。

2025/03/14 竹本健治「匣の中の失楽」(講談社文庫)-2 キャラは人形に模されている。では誰が人形遣いになれるのか。 1978年の続き という読み方をしたのが二回目の再読だった前回。ブライアン・オールディス「世界Aの報告書」(サンリオSF文庫)みたいな入…

竹本健治「囲碁殺人事件」(角川文庫) ゲーム3部作の1。異常事態にあうとルールとセオリーは動揺する。

1980年初出の「ゲーム殺人事件」の第1作。この40年で何度か版元を変えた。河出文庫、角川文庫とでて、途中に3作を一冊に収めた合本がでて、そのあとは創元推理文庫で入手できるらしい。 第七期棋幽戦第二局は、〈碁の鬼〉と称される槇野猛章九段の妙手で一日…

竹本健治「将棋殺人事件」(角川文庫) ゲーム3部作の2。詰将棋の駒である探偵が歩き回って、王手を見つけて詰む。

1981年初出の「ゲーム殺人事件」の第2作(という事情を知らないで三部作なのに本書を最初に読んでしまった)。 駿河湾沖を震源とする大規模な地震が発生し、各地に被害をもたらすなか、土砂崩れの中からふたつの屍体が発見された。六本木界隈に蔓延する奇怪…

竹本健治「トランプ殺人事件」(創元推理文庫) ゲーム3部作の3。作者の初期の代表作を正統に継承しているのはこの作。

1981年出版のゲーム三部作完結編。今回読んだのは創元推理文庫でだが、過去には新潮文庫、河出文庫、角川文庫ででたようで、さらに講談社文庫でもでている模様。 洋館で行われたトランプゲームの最高峰コントラクト・ブリッジの最中、女性が鍵のかかった部屋…

竹本健治「かくも水深き不在」(新潮文庫) 怖いのは外にいる鬼。それよりもっと怖いのは「不在」。

すんなり気持ちよく読了させることを許さない作家の(自分にとっては比較的)近作。2012年刊行。さてどのように騙されるだろう。たのしみ。 鬼ごっこ ・・・ 中学生?6人が廃墟に忍び込む。部屋を調べていくうちに、ひとり、またひとりと姿を消していく。残…

竹本健治「涙香迷宮」(講談社文庫) ゲーム3部作番外編。とても頭のいい人たちのディレッタンティズム満載の会話を聞くと、読者も頭がよくなったように錯覚。

俺が黒岩涙香に興味をもったのは高校時代に別冊幻影城で「幽麗塔」を読んだとき。そのあと旺文社文庫、学研M文庫ででるたびに入手した。いまでも国会図書館がスキャンデータをアップしているので、いくつか復刻されていないのを読んでみようかと思っているく…

竹本健治「匣の中の失楽」(講談社文庫)

これで3度目か4度目かの再読。 この迷宮めいた小説を少し変わった観点からサマリーをかいてみよう。すなわち、序章はたぶん一般的な小説であるとして、ミステリー愛好家の大学生とその周辺の仲間(計12人)のひとりが7月14日の盛夏に密室で刺殺された、とい…

竹本健治「凶区の爪」(光文社文庫)

季節の変わり目のせいか体調不良で集中力が切れていて、読書が進まない。気軽に読めると思って購入。 「会津地方一の名家・四条家で惨劇が起きた。―17歳で史上最年少の囲碁・本因坊となった牧場智久たちが、四条家に招かれた翌朝だった。蔵の白壁に首なしの…