odd_hatchの読書ノート

エントリーは2600を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2021/9/25

フランス文学

ジュール・ルナール「ぶどう畑のぶどう作り」(岩波文庫)

中学生のころは、同じ作者の「博物誌」がとても好きだった。とくに、短いスケッチ――ほとんどコント――が好きで、真似をしていくつもかいたのだった。しかし、子供をいじめる話である「にんじん」はどうにも手を出す気持ちになれなくて、ヘッセ「車輪の下」と…

アンリ・バルビュス「クラルテ」(岩波文庫)

「クラルテ」は1919年の刊行で、前年までの第1次大戦でバルビュスは40代でありながら従軍するという経験をもっていたのだった。その体験に裏打ちされた戦場描写は迫真的である。 物語はフランスの地方都市。叔母と同居する内向的な青年が主人公。彼には生や…

アンリ・バルビュス「地獄」(岩波文庫)

高校1年の夏休み、読書感想文の宿題にバルビュスの「地獄」を選んだ。人生に倦んだ青年がホテルの一室に引きこもり、のぞき穴から隣室の宿泊客を覗き見るという話。単なる旅行客がやってくるだけではなく、金持ちの老人、夫をなくした未亡人など人生の種種の…

ジョルジュ・ローデンバック「死都ブリュージュ」(岩波文庫)

沈黙と憂愁にとざされ,教会の鐘の音が悲しみの霧となって降りそそぐ灰色の都ブリュージュ.愛する妻をうしなって悲嘆に沈むユーグ・ヴィアーヌがそこで出会ったのは,亡き妻に瓜二つの女ジャーヌだった.世紀末のほの暗い夢のうちに生きたベルギーの詩人・…

アルチュール・ランボー「地獄の季節」(岩波文庫)

奥付とカバーを見て記憶をたどると、高校2年の夏に川越の紀伊国屋書店で購入したのだった。クラブの練習を終えて帰宅する途中で、部活仲間と立ち寄った際に買ったのだろう。白星ひとつの100円、パラフィン紙のカバー。たしかその夏休みに読んだのだったか? …

ネルヴァル「暁の女王と精霊の王の物語」(角川文庫)

ネルヴァルについて知っていることは少ない。シェリーやバイロンの同時代人。若いうちより海外雄飛の夢覚めやらず、イタリアからエジプト、トルコその他への地を放浪した。その経験をいくつかのファンタジーにまとめもし、ベルリオーズとの友愛は「ファウスト…

バルザック「セラフィタ」(角川文庫)

ノルウェーのフィヨルドに囲まれた寒漁村。そこには、スウェーデンボルグが名付け親になったセラフィタという人物=天使がいた。彼=彼女は、生まれながらに霊性を持ち、天に昇ることが可能な超人であった。彼=彼女が17歳の時、牧師の娘ミンナと放浪の哲学探…