サファイヤのように澄んだ瞳をもつ令嬢、街角で心ひかれた女性のために、たちまち怪事件に巻き込まれたラウール。彼は相つぐ事件の謎と、緑の目の女性の陰に隠された恐ろしい秘密をかぎつけた。ラウールことリュパンは、敢然とその渦中にとび込んで謎を究明するが、一時は、さしもの怪盗紳士も手こずって途方にくれる難事件!
緑の目の令嬢 - モーリス・ルブラン/石川湧 訳|東京創元社
1927年に書かれたとは思えないふるいタイプの物語。薄幸のなぞめいた少女にまといつく事件に介入し、彼女の愛を自分のものにするルパン。彼は神出鬼没で、ヒロインの危機には常に背後にいて敢然と問題を解決する。こういうタイプの物語は、ゴシック小説にはよくあって、「白衣の女」等に典型的で、「灰色の女」で壊滅したかと思えたが、ここまで生き延びているとは。ヴァン・ダインやクリスティの諸作が発表されている時期に人気を博していたとはねえ。まあ、このタイプのものはのちのスパイ小説に転用されていったのだろうが、まあふるめかしいこと。発表時期が1900年の初頭なら、こんな感想はもたなかったのだが。
以前にも読んでいたことをすっかり忘れていて、再読のきっかけにしたのはアニメ「カリオストロの城」のアイデアがここにあると聞いたから(あとは上記の「灰色の女」というより「幽霊塔」が映画の設定に影響している)。最後に現れる風景がいっしょなのだ。もちろん後から作られたアニメのほうが、美少女に恋焦がれる主人公の造形なんかも含めて、より面白い。
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