日本史
「内には立憲主義、外には帝国主義」とまとめられる大正デモクラシーの、別の、多彩な面をみようとする研究。もとは1974年に刊行。 大正デモクラシーは1905年から1925年にかけての民主主義運動。主な政治目標は、普通選挙の実施、軍縮と徴兵制の改革、税制改…
自由民権運動の単著は出さなかったが、折に触れて書いた論文を収録。 自由民権運動1951 ・・・ 明治維新前から民衆の民主改革要求はあったが、散発的な運動にとどまった。明治政府ができて封建的な体制はなくなるかにみえたが、官僚制と資本主義を基とする政…
1913年生まれ2001年没の歴史家。近代日本史を専攻し、羽仁五郎の大きな影響を受ける。もっとも師のアジテーター的なところは継承していないで、アカデミシャンとして冷静な発言をする。師の影響もあって、歴史の人民解放という視点を強調する。 明治維新につ…
ここでは1470年から1570年にかけての歴史がおもに大名の視点で語られる。このあとの天下統一は次の巻の主題なので、織田・豊臣・徳川の話はほとんど出てこない。かわりに、伊達政宗、武田信玄、上杉謙信、北条早雲、毛利元就などの地方大名が語られる。戦後…
網野善彦「日本の歴史をよみなおす」(ちくま学芸文庫)-1 後半は「続・日本の歴史をよみなおす」というタイトルで出版されたもの。ちくま学芸文庫版は二つの本の合本。「日本中世の民衆像」(岩波新書)から10年を経ての講義なので、前著の内容を覆す発言も…
この国の通史を勉強するのに便利なのは、中央公論社の「日本の歴史」シリーズ。昭和30-40年代にこの国の歴史家を動員して書いたこの浩瀚な大著は読み通すのも大変。とはいえ、その後、この国の歴史の研究の仕方が変わったらしい。単純には過去の歴史書を読ん…
山田方谷は備中松山藩(現岡山県高梁市)の人。江戸末の百姓生まれであったが、幼少のころより聡明であったので、朱子学に勤しむ。長じては大阪の塾に留学し、陽明学(大塩平八郎、吉田松陰などが有名)を学ぶ。折から、藩財政が悪化していたことに加え、藩…
以下は不正確なまとめになるだろう。 ストーリーは大政奉還と江戸城の開城から始まる。幕府は潰れた、ではどうするか。新政府に力がないのは明白。しかも人民(そんな階級の人はいなかったが)も信用していない。そこで、早急に新政府の「中心」を作らなけれ…
「今から百年前,アジアで最初の国会開設要求の国民運動が日本全国からわきおこった.一八八一年は,この自由民権運動の最高潮の時であり,民衆憲法草案が続々起草され,自由党が結成され,専制政府は崩壊の危機にまで追いつめられた.各地で進められている…
そう簡単には入手できない一冊。自分の手元にあるのは昭和15年初版のもの。新規開店した古本屋にいったらこれが300円で売られていた。1990年ころの話。数年を経ずしてつぶれてしまった。 内容を例によってまとめてみるが、今回は超訳をところどころで採用。 …
1905年5月25日の日本海海戦のことは、ノビコフ・プリボイ「ツシマ」によってロシア側のことを知ることができるとはいえ、この国の多くの人は司馬遼太郎「坂の上の雲」で知ることになるだろう。ここには、1968年ころの連載中、まだ存命中だった日本海海戦経験…
文字から炎が湧き上がるかのような熱い文章。1913年生まれ。学生時代の1932年にマルクス主義と出会い、圧倒的な体験になった。その後、高校の教師になるが戦前・戦中は時局批判の活動ができない。戦後、その体験から現代史を講義するとともに、政治批判を活…
「あの」戦争について書かれた本は多岐にのぼる。小学生のころに手にした太平洋戦記を皮切りに多くの本を読んできた。最近の問題意識は、「あの」戦争の個々の局面における決断や戦局推移にではなく、どうすれば「あの」戦争を回避することができたのか、ど…
書かれたのは1981年。レーガンがアメリカ大統領になり、新たな冷戦の開始を意図した。共産圏の周辺国家に核兵器を配備しようとして、反核運動をおこす原因になった。日本には核兵器を配備することはできなかったが、大幅な防衛費の負担増加を求めた。そのた…
だいたい3つの区分で旧日本軍の行った残虐行為を紹介し、その背景を分析する。その際に、国民党軍や八路軍の戦略、政略も検討対象にする。そのことは、残虐行為の背景を理解する助けになる。 いつものように著者の主張をまとめよう。 ・1931年の柳条湖事件…
1982年のベストセラー。百万部を超えたらしい。このような陰惨なノンフィクションを受け入れる土壌があったことを懐かしく思い出す。レーガン政権になって核戦争の可能性が増したと思われた時代だったこと、それから医療行政の不手際が目立つことあたりがそ…
対米開戦の避けられないと思われた昭和14-5年ころに、陸軍参謀部は考えた。米にはLifeが、ソ連にはUSSRというグラフ誌があるではないか。それに比べわが軍、わが国には。というわけで、参謀本部の肝いりで「対ソ宣伝計画」を目的にした民間雑誌会社を作るこ…
「人の一生の折り目や自然とのかかわりの中で出会う種種の災厄に対応して、さまざまな神仏が生み出される。産神、山ノ神信仰、厄払いのお参り、さらには合格や商売繁盛の祈願、道祖神の祭り等等。日本人の日常生活の中で生きつづけてきた民俗信仰の多様な姿…
われわれが外国を旅したときに、風景・文物・風習がどれも珍しくて、それとわれわれの日常に在るものの差異を考えてしまうことがある。それと同じことは日本を訪れた外国人にも起こっているはずで、彼らが記録したことは、そこに住んでいるものにはあたりま…
司馬遼太郎「国盗り物語」と比べると、どの年齢の信長を書いたかということで大きな違いがある。前者では40歳までを描き、あとはあっさり。こちらの場合は幼少時のエピソードはほぼばっさり。代わりに一向一揆との対決から死までの10年間に半分以上を費…
西暦1000年を境に前後50年の約100年を記載。タイトルにあるように天皇を中心にした摂関政治のことを記述している。それは当時の資料がどうしても貴族の日記や公文書、さらには歴史物語に偏するためで、民衆や地方の武士に関する資料が少ないから(文書が散逸…
自分の実家は武蔵野台地の北のはずれ。入間川によって削られた河岸段丘(おお、中学生以来初めて使った)が見える。台地には川が流れていないので、周辺は畑ばかりだった(いまはベッドタウンに開発されてこのような光景はみられない)。電車はこの台地の上を…
昭和金融恐慌について数冊を読んでいたが、1920年代の恐慌史に思い違いがあったようだ。 徳永直「太陽のない街」(新潮文庫) 追記2011/7/1 - odd_hatchの読書ノート まとめると、 ・第1次大戦によりアジアから撤退した欧州企業の間隙をぬって日本企業が進出…