odd_hatchの読書ノート

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辻真先「盗作・高校殺人事件」(創元推理文庫)

「『サザエさん』をはじめ数多くのアニメの脚本を書いてきた辻真先推理小説に手を染めた最初期の3部作『仮題・中学殺人事件』『盗作・高校殺人事件』『改訂・受験殺人事件』は、ポテトとスーパーという愛すべきキャラクターの誕生とともに、数々の仕掛けやトリックで、手練れの推理小説ファンをあっと言わせた。第2作に当たる本書は、「作者は、被害者です。作者は、犯人です。作者は、探偵です」という、ジャプリゾの『シンデレラの罠』をも凌ぐ卓抜のアイディアで唸らせた作品です。」
盗作・高校殺人事件 - 辻真先|東京創元社

 ポテトが新宿駅の山手線ホームにまどろんでいると(スーパーにフラれて一人で恋愛映画をみにいったらカップルにあてられて落ち込んだのだって。「スターウォーズ」にすればよかったのに)、キヨスク(当時はそんな名前ではなかったけどなんだったっけ)の爆弾事件に遭遇する。病院で同室になった恭助と武はそれぞれカップルをもっている。で、夏休みを恭助の実家である山梨のさえない旅館で六人で過ごすことにした。そしたらいろいろな因縁が。恭助の最初の彼女は恭助のバイクでひき逃げされるわ、その娘(こ)の幽霊が爆弾事件に続いて旅館に現れるわ、死に掛けた祖父の意思のおかげか温泉が湧き出るわ、恭助は祖父の死んだ部屋で刺殺体で発見されるわ、恭助とそりの合わない伯父は東京のビジネスホテルでやはり密室で刺殺されるわ、恭助と武はミステリーを書いているわ(おっと、ポテトもだった)、武は親父のツテで出版のめどが立つわ、スーパーの兄貴・日刊サンの編集者は警察に顔を売っていて全部の事件の情報を手に入れるわ、とまあ、いろいろな事件が起きている。こういう高校生活は楽しいだろうなあ。オレは体育館にこもってバレーボールを追いかけてばかりだった。えーと、個人的な事情はさておくとして。
 途中で、作家と編集者の会話がさしはさまっていて、どうやらこの事件は作中の別の時間軸では実際にあったことらしく、しかもその事件のことを作家も編集者もよく知っている。こちらのストーリーはもちろんうっかり読み過ごすように書いているので、読者は注意しておいて。
 そうしたうえで、「作者は、被害者です。作者は、犯人です。作者は、探偵です」というトリッキーな設定は見事に成功。それが実現したのは・・・ これ以上書いたらこれからこの本に出会う幸運な読者の興を削ぐのでおしまい。いちおう読み終わった後にタイトルをもう一回読み直してね、とおせっかいしておく。