「俺はかならず妻の仇をとってやる。熱く焦げた銃弾を、そいつにぶち込んでやる――妻を殺された元ボクサー田島君彦の怒りは青く燃える。彼は信頼する新田警部補と組んで非情な復讐を開始した。それが、汚職で警視庁を追われ、金もうけをたくらむ新田の仕組んだ罠であるとも知らずに……。暴力団同士の激しい抗争の続く港町を舞台に、闇に生きる男たちの凄絶な死闘をハードに描く。」
岡本喜八監督の「暗黒街の対決」の原作ということで、この本を古本屋で購入。
週刊誌に連載されたのかな? 1章ごとに新しい銃器の説明が入り、数人が殺される。プロットは平坦で、最後にどんでん返しが起こるわけではない。銃器にも凄惨な暴力描写にも乗れないとすると、これは自分のほしい本ではなかった。
かわりに、映画化するに当たって、監督や脚本家がどのように料理したかのほうに興味が沸く。すると後半の暴力団の出入りや監獄襲撃は大胆にカット。田島というボクサー崩れの人生を丹念に描くことにし、雇い入れた殺し屋をユーモラスに描く(なんたって天本英世の殺し屋をキャバレーの歌手にして、ギターを持たせて歌わせるんだから。「殺人狂時代」と同じくらいに印象的な役柄だった)。でも、三船敏郎と鶴田浩二の演技が重すぎて、この軽いタッチの物語にはあわなかった。