odd_hatchの読書ノート

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毛沢東「実践論・矛盾論」(岩波文庫)

 初読時のメモを書いておく。1981年のときのもの。
実践論 ・・・ 実践を通じて真理を発見し、また実践を通じて真理を立証し、真理を発見させる。最初は主観的世界にあるが、実践を通じて感性的認識にいたり、それが理性的認識につながり、革命的実践を通じて、客観的世界と主観的世界を改革する。実践、認識、再実践、再認識という循環往復して、無限に繰り返されて、より高い次元に到達する。
矛盾論 ・・・ 思考の根本原則。物・事には矛盾があり、それを止揚することで、認識と実践をより高くすることができる。
矛盾の普遍性と絶対性
1.すべての客観的事物および主観的思考の過程のうちに存在し、すべての過程を始から終りまで貫いている
2.矛盾の逃走は耐えることがなく、それらが共存しているときでも、転化しあうときでも、つねに闘争は存在する。ときにそれらが互いに転化しあうときに闘争はさらにいっそう著しく現れる。
矛盾の特殊性と相対性
1.矛盾する事物およびそのあらゆる側面はそれぞれの特殊性を持っている。
2.矛盾する事物は一定の条件によって同一性をもっており、したがってひとつの統一体のうちに共存することができ、また互いに反対の側に転化していくことができる。
(主要なものと主要でないものの違いに注意する。矛盾の様々な異なった闘争形式の違いに注意する。)

        • メモはここまで----


 客観的世界の矛盾の形式の例として上げられたのは、力の作用と反作用、電気力のプラスとマイナス、自然数のプラスとマイナス、微分積分。それとおなじものとして、社会における階級闘争が並べられる。その象徴思考というか、類推思考というか、この粗雑さにはあきれる。まあエンゲルス「反デューリング論」もそうだったが、自然科学に例をそのまま無反省・恣意的に社会状況や党員モラルにつなげてしまい、場合によっては陰謀論、スパイ論なんかをもちだしてしまう。このあたり、マルクス主義者は100年かけて克服できなかったなあ。同時に読んでいたのが大西巨人「天路の奈落」だったので(もちろん意図的な選択だが)、マルクス主義文献のまずさのほうに気をとられた。
 あと実践や矛盾を認識する方法としては、昨今のプロジェクトの手法とかPMBOKなどのほうがより便利につかえるのではないかな。なにしろそれらにはイデオロギーがはいっていない、どこでも有効なプラグマティックなものだから。正-反-合の弁証法ヘーゲルやこの「矛盾論」で読み取るより、古本屋でマーケティング分析の本を格安で買ってSWOT分析ができるようにしたほうが問題解決や他人の説得には早いんじゃないの。

  

日高敏隆「動物にとって社会とはなにか」(講談社学術文庫) - odd_hatchの読書ノート

<追記 2014/6/22>
 陳定学の「『矛盾論』は毛沢東のオリジナルか」という論文があるという。それによると、「矛盾論」は三冊のネタ本があって、複数の人物が起草して、毛沢東校閲して発表されたという。
毛沢東マルクス主義者ではなかったのか
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