odd_hatchの読書ノート

エントリーは2600を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2021/9/25

G.L.シャックル「楽しい数学」(現代教養文庫)

 イギリスの統計学者がかいた若い人向けの数学入門書。
 小川洋子「博士の愛した数式」を読んで数の世界がおもしろいと思ったら、この本にトライしてみてはいかが。下記のように高校までの数学の復習になる。

 扱う題材は、数(整数、分数、無理数虚数など)、関数、座標、極限と連続、微分積分二次方程式複素数とベクトル、順列と組み合せ、数学的帰納法級数。この国だと、中学1年から高校2年までにあたるかな。ちょっと面食らうのは、教育課程ででてくる順番とはちがうので、教科書の復習にはちょっと、というところ。この本を中学3年で読んだが、数学が必ずしも得意でなかったので、極限と連続のあたりでつまづいたとおもう。本来なら、ノートを横にして数式を解きながら読むべきなのだろうけど、そこまでしなかった。若い人たちはぜひとも数式を解くことをお勧め。
 おもしろいと思ったのは、作者の個性なのか、イギリスの教育の仕組みなのか、定義にこだわり、その厳密さを求めること。そのときには、教科書の記述よりももっと詳しい説明をする。ときに、わずらわしいと思うくらいに。でも、その厳密さを積み重ねていくことが数学の思考なのだろうな。あるところをいい加減な理解にしておくと、その先で、しっかりとつまづいてしまう。たとえば、自分は微分の前提になる「デルタ-イプシロン論法」で躓いて、その先に行けなかった。
 似たこととして、この本で連続を定義している次の文章を理解できないまま。

もう一つの小さい距離(gと呼ぼう)を選んで、曲線上のある点のx座標とx1との差をgより小さくすれば、その点のy座標とy1との差がいつもhより小さくなるようにすることができるならば、曲線は私たちが選んだ点(x1、y1)で連続である。(P106)

 うーん、自分にはハイデガーを読むより難しいぞ。
 冗談はさておき、久しぶりに高校の数学を思い出した。同時に試験で苦しめられたことも思い出した。
 数学の本はサイモン・シン「フェルマーの最終定理」がおもしろく読んだ。そこでは数学そのものよりも、論理的な思考とか人間くさいやりとりに興味を持った。そういう高踏な数学の啓蒙書もよいけど、高校までの知識で解ける問題を読み直すのも一興。さすがと描写は古くて、今日的ではない。自分の中学・高校生時代を思い出した。