odd_hatchの読書ノート

エントリーは3000を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2023/9/21

音楽エッセー

野呂信次郎「名曲物語」(現代教養文庫) こういう本で基礎的な教養を付けてから、教養主義批判をしましょう。本書自体はもう古い。

この本を購入したのは、高校2年のときか。実家にはクラシック音楽を聴くという作法はないし、友人にそういう趣味を持つものもいなかった。しかもLPレコードはおいそれと帰るものではない。第一、家にはLPプレーヤーがない。安いポータブルプレーヤーがあ…

石原俊「いい音が聴きたい」(岩波アクティブ文庫) いい音で聴きたい欲望は他人にしゃべりまくりたい欲望の裏返し

万人に認められる欲望もある境を越えるようになるとそれは狂気に変わる。周囲は不可解に思うが、当人だけは正常と思っているので、説得もできずにあきれるしかない。不思議なことにそういう人生を棒に振りかねないほどの欲望を持つのは、男の方が多い。 ここ…

石井宏「帝王から音楽マフィアまで」(学研M文庫) 1990年バブル時代のクラシック音楽業界の裏話。21世紀に業界のビジネスは縮小したが、本書の批判は有効であるか。

著者は音楽学者ということだが、ここでは1990年バブル時代のクラシック音楽業界の裏話を語っている。槍玉にあがっているのは、カラヤンとホロヴィッツ。演奏の内容に関する批判は少なくて(でも下記の非難のあとに返す刀でぶった切っている)、むしろマネジ…