個人的な思い出から。敗戦後すぐ(1947年)に出版された本は、伯父が買ったものだ。後に大学教授になった伯父は独身時代に集めた本を兄の家に大量に残していた。自分が子供のころに手元に移動したのか(処分したのか)、ほとんどの本はなくなったが、数冊が残った。長らく自分の書棚に入れっぱなしになっていた。
読まずにいたのは作者を知らなかったからだ。戦後に詩集が編まれることはなく、文学史にも名前が現れない。
とりあえずwikiで検索すると、このような人らしい。
青空文庫に著者の書いたものは載っているが数は少なく、国会図書館に「野口米次郎定本詩集 第3巻」は収蔵されていないようだし、ネットでもヒットしない。すでに著作権切れとみなせるので、ここはひとつ電子テキストして広く作品を共有しようと考えた。
敗戦後の昭和22年に出版された本は日焼けして印刷もよくない。旧字旧仮名で見慣れない漢字が頻出する。スマホアプリには写真から文字を読み取るものがあるが、この本には使えなかった。そこでgoogleドキュメントを起動し、音声入力を設定し、自分でテキストを朗読する。こうすると自動的に文字起こしをする。テキストになったものを後で手を加えた。
簡単にいくかと思ったが、同音異語がたくさんある、漢字の送り仮名が一貫していない、漢字の使い方が一定でない、仏教用語や印度の地名などは無理やりな漢字を当てはめる、自分の活舌が悪い、スマホのマイクを塞ぐなどの理由で予想したよりも文字起こしには時間がかかってしまった。また旧字旧仮名をそのまま起こすことはやめて、新字新かなにすることにした。しかし専門家ではないので、旧字旧仮名をそのまま残したところがありそう。しっかりしたルールで作ったわけではないし、判読不能な文字を推定して当てているので(一応IMEの文字パットを使用)、完全であるわけではない。
なお、昭和の戦前の作のため、人種差別を含む語句や文章が出てくる。著者が亡くなっていることや戦前の思考を記録するために、削除や修正は行わず、原文のままにした。
そこは御承知おきのほど。
野口米次郎定本詩集第3巻 印度詩集 01
野口米次郎定本詩集第3巻 印度詩集 02
野口米次郎定本詩集第3巻 印度詩集 03
野口米次郎定本詩集第3巻 印度詩集 04
野口米次郎定本詩集第3巻 印度詩集 05
野口米次郎定本詩集第3巻 印度詩集 06 タゴール叙情詩 劇詩
野口米次郎定本詩集第3巻 印度詩集 07 タゴール「アマとヴァナヤカ(劇詩)」
野口米次郎定本詩集第3巻 印度詩集 08 タゴール「ソマカとリトヴィク(劇詩)」
野口米次郎定本詩集第3巻 印度詩集 09 タゴール「母の祈願(劇詩)」
〈追記 2023/9/26〉
野口米次郎の詩集や評論は、国立図書館デジタルコレクションでPDFが公開されている。友文社の「野口米次郎定本詩集」も含まれているが、第1巻と第2巻まで。第3巻は入っていませんでした。
2023/02/17 野口米次郎「野口米次郎定本詩集 第3巻」(友文社)「印度詩集」-2 1947年に続く