共産趣味
1974年8月から翌年5月にかけて、企業を標的にした爆弾テロ事件が頻発した。犯行声明は「東アジア反日戦線」の名前でだされた。一連の事件の経過は 連続企業爆破事件 - Wikipedia 東アジア反日武装戦線 - Wikipedia を参照してください。 この事件が衝撃を与…
中核派と革マル派の内ゲバは1969年ころに始まり、頻発したのは1978年くらいまで。その間に、数十名の死者とその数倍の負傷者を出した。このゲバ(というよりテロルだな)のエスカレートが重要な社会問題になり、のちに文学者などからのテロ停止の勧告がなさ…
アポリアとは「解決不能な難問」「行き詰まり」と言った意味をもつ哲学用語。でもって、「死」に関する問題を考えようという本。なるほど、若者なら出会う可能性のある問題であるだろう。 著者は1948年生まれ。大阪の有名進学校に入学。途中「登校拒否」をして…
1969年春。70年安保闘争を控えた新左翼諸派の闘争方針を収録したもの。革マル、解放、ML、共同、中核など6派が論文を寄せている。まだ内ゲバの始まる前で、革マルと中核がいっしょに収録されているのが珍しい。内容についてはというと、今から35年前の…
三島由紀夫/東大全共闘「討論 美と共同体と東大闘争」(角川文庫)-1 さてこちらでは全共闘の側。 ほかのエントリーでも説明したように、全共闘運動は政治革命、文化革命、存在革命の3つを志向する。そのような志向と国家の廃絶という一点で、三島由紀夫と全…
一時期、全共闘関係の本は目の着く限り集めてきたが、これはもっていなかった。角川文庫で出版されていたのに驚いた(2000年刊)。1980年代半ばに全共闘ブームというのがあって、そのときにこの討論会の録音がカセットで販売されたという記憶がある。相当に高…
3つの大学の全共闘が当時30代後半の作家と対談する。そのあと、3人で総括の対談を行う。1969年4月に行われた対談は、日大全共闘と小田実、京大全共闘と高橋和巳、東大全共闘と真継伸彦という組み合わせ。すでに東大安田講堂は「落城」。ほとんどの大学に機動…
早稲田大学に在学中の22歳の青年が、1968-69年にかけて書いた文章を収録したもの。当時は全共闘運動が盛んであって、彼もまたその一員。当時の文章の書き手はずいぶん若かったというが、著者も同様。 その全共闘運動なのだが、学生や院生の主張が多岐にわた…
東大闘争の経緯を簡単にまとめると、医学部の学生やインターンが待遇改善をもとめて(無給で長時間労働を強いられ勉強する暇がない)、1968年冬に無期限ストを行った。学生と職員がもめると、その場にいた学生に処分(退学とか停学とか謹慎とか)がでた。そ…
全共闘運動は、どうにも心にいろいろなしこりがあって、実体験がないにも関わらず、うまいことまとめられないでいる。これは1968年の日大闘争の記録を1985年に出版したもの。いくつかの学部で別々の闘争があったが、ここでは芸術学部で起きたもの。ほかの学…
1968年5月の初出。 1960年の安保闘争で、学生運動が割れた。スターリン批判の影響を受けた若者たちと、共産党指導を批判するようになった若者たちがそれぞれ自前の党派を持つようになる。よくわからないのだが、全学連からわかれた共産主義者同盟(通称ブント…
これも保坂正康「六〇年安保闘争」(講談社現代新書)とおなじく、1985年初出。保坂の本は1960年安保闘争にフォーカスしているが、この本は戦後学生運動の歴史を書いている。といいつつも、記述は左翼と新左翼の党派までを網羅。戦前に「学生運動」は少数で…
21世紀のいまどき、誰がこんなものを読むのかというようなタイトル。しかも1960年代後半の全共闘をテーマにしているならまだしも(この文章を書いたのは2006年)、これは1960年安保闘争を総括したもの。書かれたときの状況とテーマは大島渚監督の「日本と夜と…
1928年に生まれた著者が1948年に東大に入学するとともに、共産党細胞として活動を開始。その後、1961年に離党するまで反主流派であり続けた著者の立ち居地を明らかにする。年齢からすると、戦前に共産党ないし無産者活動を開始した人たち(野間宏とか埴谷雄…
1989年の東欧革命、1990年のソ連邦崩壊を受けて、20世紀の社会主義運動と国家成立を概観する。記述は19世紀初頭のユートピア社会主義から1990年まで。地域もヨーロッパ、ロシアにとどまらず、東欧・中欧、東アジア、東南アジアと広域にわたる。社会主義の思…
188X年、社会主義者の会合で疲れて帰宅した「私」は夢を見た。それは200年後の社会で、共産主義社会が実現していた。その話をぜひ書けとすすめられたので、ここにまとめてみた。というわけで、19世紀の詩人で工芸家ウィリアム・モリスの構想したユートピアが…
2014/11/19 ジュール・ヴァレース「パリ・コミューン」(中央公論社)-1 後半の150ページが1871年の「パリ・コミューン」のドキュメント。小説を見る前に、このできごとをまとめておこう。 遡ると1789年のフランス革命まで行ってしまうが、そこまで行くのは…
そういえば19世紀後半のフランスを知らないなあ、大仏次郎の「パリ燃ゆ」も読んでいねえなあ、ということでタイトル買いした一冊。1965年初版の中央公論社版「世界の文学」の第25巻。その後、この小説は復刻された様子がないので、読むにはこの本を入手しな…
タイトルの論文は1974年に雑誌連載。そのあと改訂されて1978年に単行本化。自分の初読の1980年代半ばには「差異」「テキスト」「貨幣と言語」というのは人気のあるタームになっていて珍しくもなかったが、雑誌初出のころを考えると先進性がすさまじい。なに…
1964年に出版されたものを2006年に文庫化。著者は1924年生まれなので、40歳のときのものか。 マルクス紀行1964 ・・・ マルクスの思想は、3つのカテゴリがあってそれぞれが連関している。ひとつは、現実的なものとしての<自然>哲学。エピクロスから始まる…
1848年2月のフランス革命から51年12月のルイ・ナポレオンのクーデターまでをレポート。この時代、マルクスはパリの現場を見ているわけではない(4月上旬にケルンに移動。翌年のドレスドン蜂起のあとプロイセン政府の追放令がでて、フランスにもドイツにもベ…
マルクスとエンゲルスは共産主義社会がどのようなものかについてを詳述していない。初期の「共産党宣言」あたりには萌芽になるような記述があったが、のちに商品と貨幣と資本を研究するうちにそのあたりの記述はなくなった。そういうしだいなので、著者は手…
「一九九一年に消滅したソ連は、マルクス・レーニン主義の名の下に、マルクスの思想とはかけ離れた全体主義国家として存在した。著者は、十九世紀のサン=シモン主義に遡り、産業化をめざしつつ前衛党による大衆支配へと変質した社会主義の変遷を跡づける。さ…
1970年代のコミュニズムを思い出すと、ひとつは既存の共産主義国家、政党、労働組合のどうしようもなさが明確になっていたこと(ソ連と中国の争いとか、ソ連の反抗知識人への迫害とか、東欧諸国からの亡命とか)、もうひとつはそれに対抗する新左翼のより強…
20世紀の革命というと、ロシアと中国とベトナムであとは・・・という程度の認識。それを補完するのがこの本になる。舞台はキューバにエジプトにガーナ。これらの特徴は、a.いわゆる第三世界、発展途上国、「後進国」と呼ばれる地域。b.植民地の経験を持ち開…
ゲバラの著作は不定期に読んでいて、これが4冊目(「革命戦争の日々」集英社文庫、「ゲバラ日記」角川文庫、「ゲリラ戦」中公文庫に続く)。この本は、若いときの「成人旅行」の記録。医師を目指していたゲバラは、独り立ちの前に、友人といっしょに南米の…
1949年初版。マルクス、フォイエルバッハ、ラッサール、スターリンの4人を収録。10年後に、レーニンとトロツキーを加えて増刷。1969年に、チトー、アジアの共産主義、スターリンとフレシチョフを加える。1984年に角川文庫に収録されたときに、ローザ・ルクセ…
初読時のメモを書いておく。1981年のときのもの。 実践論 ・・・ 実践を通じて真理を発見し、また実践を通じて真理を立証し、真理を発見させる。最初は主観的世界にあるが、実践を通じて感性的認識にいたり、それが理性的認識につながり、革命的実践を通…
下巻はロシア革命以前の亡命時代に、主にドイツの雑誌に書いた小文を集めている。1900年前後のドイツには総合雑誌のようなものがたくさんあって、文化の傾向を主導する役割を果たしていた。そういう雑誌に小文を書くことで名を馳せたジャーナリストがいたの…
この本には、ロシア革命以後に書いた文学関係の論文が収められている。トロツキーには、政治煽動家、軍事指導者として名の残っている人なのだが、亡命後には著述家としての一面も持っている。「裏切られた革命」「ロシア革命史」「わが生涯」などの多数の本…