経済学
これまで収奪の対象でしかなかった「自然」や、公共物としてその経済的効果を判断することのなかった道路・公園などの公共財、たんなる公共サービスとしかみていなかった教育・医療・介護などを社会的共通資本として人々の管理において適正な使い方をしてい…
序 日本の不良債権問題をどのように考えるか ・・・ 金融システムは、家計などの資金の提供者が蓄積した貯蓄を国・自治体・企業の資金調達者に効率よく移転し、それぞれに適切なリスクとリターンの関係を実現すること。1990年代の金融システムはそれを実現し…
1994年に急逝した著者のおそらく最後の本(1993年刊)。 1989年の東欧革命で深刻な衝撃を得て、それでもなおかつ社会主義思想を擁立しとうしている試み。1935年生まれの著者は、おそらく1960年安保闘争を前線で戦い、1970年安保を窓の横に見ながら政治思想史…
柄谷行人「世界共和国へ」は資本主義経済社会の行き詰まりを打開するための理念を示しているが、具体策には乏しい。それは読者個々人で現場を作ることになるのだが、どのような問題をどのように解決するのかということを具体例なしに個人で抱えるには大きす…
先にぶっとい中村勝己「世界経済史」を読んでいたので、ここで書かれた事例がいつごろのどこのことかがはっきりしたのがよかった。 この本では、歴史の記述を考えるのではなく、経済の発展のモデルを作ること。そのモデルは妥当性を持っているように思える。…
まず本書の中身を鳥瞰。2000年10月現在の状況を描写。 序章 市場主義の来し方ゆく末 ・・・ 1970年代末から1990年代末までの市場主義、自由主義経済政策は終わりにしなければならない。市場の調整機能に任せられない状況が様々な問題を生じている。市場主義…
アダム・スミスの読み直しとそれによる経済のグローバル化の批判。スミスの生きた時代が漱石「文芸評論」の時代であること、そして「産業革命」の時代であること(下記のように実際は別の経済革命が重要だった)。そのころから300年もたつと、どうもわれわれ…
2013/05/20 佐伯啓思「アダム・スミスの誤算」(PHP新書) 序章 凋落したケインズ ・・・ ケインズの政策は一国の閉鎖的な経済環境を想定していた。外国との開放経済を調べてみると、1)一国の独自の経済政策、2)貿易のバランス、2)為替レートの安定…
「リスク」という言葉はどうもえたいが知れないし、どうも誤解された使われ方をしているのではないか(自分の責任とは無関係に降りかかってくる災難みたいな意味)。なので、このタイトルの本を読む。 前半は、リスクの考え方や計算に使われる確率や統計、推…
2013/05/16 ピーター・バーンスタイン「リスク 上」(日経ビジネス文庫)第10章 サヤエンドウと危険 ・・・ ようやく株の話。株価は変動が激しいが、長期的にみれば「平均への回帰」がみられる。問題は、「平均」が長期的に変動していくこと。ほかにもいく…
「憲法9条改正?自衛隊を正規軍に?でもその前に一度、冷静になって考えてみよう。戦争は経済的にみてペイするものなのか?ミクロ・マクロの初歩的な経済理論を使って、現実に起きた戦争―第一次世界大戦から、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争まで―の収支を…
昭和金融恐慌について数冊を読んでいたが、1920年代の恐慌史に思い違いがあったようだ。 徳永直「太陽のない街」(新潮文庫) 追記2011/7/1 - odd_hatchの読書ノート まとめると、 ・第1次大戦によりアジアから撤退した欧州企業の間隙をぬって日本企業が進出…