odd_hatchの読書ノート

エントリーは2400を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2020/10/13

イギリス文学_エンタメ

マイケル・イネス「ある詩人への挽歌」(現代教養文庫)

「ラナルド・ガスリーはものすごく変わっていたが、どれほど変わっていたかは、キンケイグ村の住人にもよく分かっていなかった……狂気に近いさもしさの持ち主、エルカニー城主ガスリーが胸壁から墜死した事件の顛末を荒涼とした冬のスコットランドを背景に描…

マイケル・イネス「ハムレット復讐せよ」(国書刊行会)

「英国有数の貴族ホートン公爵の大邸宅で、名士を集めて行われた「ハムレット」の上演中、突如響きわたった一発の銃声。垂幕の陰で倒れていたのは、ポローニアス役の英国大法官だった。事件直前、繰り返されていた謎めいた予告状と、国家機密を狙うスパイの…

レイモンド・ポストゲイト「十二人の評決」(ハヤカワポケットミステリ)

「第一部―陪審。ある殺人事件を裁くために選ばれた十二人の陪審員。彼らのなかには誰にも知られてはいけない秘密を持つ者もいる。そんな陪審員たちの職業や経歴、思想などが浮き彫りにされ、各々が短篇小説を読むような面白さとなっている。第二部―事件。莫…

ニコラス・ブレイク「野獣死すべし」(ハヤカワ文庫)

「推理小説家のフィリクス・レインは、最愛の息子マーティンを自動車のひき逃げ事故で失った。警察の必死の捜査にもかかわらず、その車の行方は知れず、半年がむなしく過ぎた。このうえは、なんとしても独力で犯人を探し出さなくてはならない。フィリクスは…

エドマンド・クリスピン「消えた玩具屋」(ハヤカワ文庫)

「月光に誘われ、深夜オックスフォードの町を逍遥していた詩人キャドガンは、ふと一軒の玩具店の前で足を停めた。 開け放しの戸口に興味を惹かれ中に入った彼は、一人の女の死体を発見した。 余り愉快な光景じゃない、そう想った瞬間、彼は頭部に一撃を受け…

ロジャー・スカーレット「エンジェル家の殺人」(創元推理文庫)

「●江戸川乱歩氏推薦――「『エンジェル』には感歎のほかありません。(中略)筋の運び方、謎の解いて行き方、サスペンスの強度、などに他の作にないような妙味があり、書き方そのものが小生の嗜好にピッタリ一致するのです。(中略)アアなるほどその通りその…

ヘンリ・メリル「メルトン先生の犯罪学演習」(創元推理文庫)

法理論とローマ法の権威メルトン教授はしたたかに頭を打った。そのまま講義をすると口に出るのは完全犯罪の話ばかり。事態を憂慮した学部長の権限で精神病院に入院する。もちろん抜け出した教授は偽名でホテルに泊まるが、警察の捜査はそこまで進んでいた。…

フィリップ・マクドナルド「ゲスリン最後の事件」(創元推理文庫)

「イギリスからアメリカへと向かう旅客機が落下し、墜落直前に機外へ放り出された作家のエイドリアン・メッセンジャーは謎の言葉を残して絶命する。ロンドンをたつ前に、彼はスコットランド・ヤードの友人に一枚のリストを手渡していた。それには、十人の氏名…

フィリップ・マクドナルド「ライノクス殺人事件」(創元推理文庫)

「ライノクスの社長フランシス・ザヴィアー・ベネディック、通称F・X。会った者はたいてい彼のことを一目で好きになる。しかし唯一の例外たるマーシュは、彼に恨みを抱き続けているという。積年の確執に決着を図るべくマーシュとの面談を約した夜、F・X…

クリストファー・ブッシュ「100%アリバイ」(ハヤカワポケットミステリ)

1920年代の欧米ミステリ黄金期の作品として「完全殺人事件」が常にあげられていて、中学生のときに新潮文庫で友人に借りて読んだ(当時は創元推理文庫版もあって、2種類がでていた)。内容はさっぱり覚えていない。クロフツ張りのアリバイ崩しものということ…

クリストファー・ブッシュ「完全殺人事件」(講談社文庫)

「その朝、マリウスと署名された慇懃無礼きわまる投書がロンドンの主な新聞社と警視庁に届いた。興味本位に受け止められ、あるいは持て余された文書は、結果的に五紙が掲載、英国全土に話題を撒いた。第二第三の手紙で日時と場所を指定し、正面きって「完全…

イーデン・フィルポッツ「医者よ自分を癒せ」(ハヤカワポケットミステリ)

医師にして殺人者が自分の犯罪を告白するという犯罪小説。ヘクター・オストリッチは頭がいいが、内向的で自尊心の強い青年。彼がチャンスをもとめて田舎町に来た時、その町の不動産会社社長の息子が射殺されるという事件が起きた。警察と探偵が必死に捜査す…

ジェイムズ・ヒルトン「学校の殺人」(創元推理文庫)

「探偵の才ある文学青年コリン・レヴェルは、母校の校長から、学内で発生した怪死事件の調査をしてもらえまいか、という手紙を受け取った。三か月前、寄宿舎で寝ていた生徒が重いガス灯用具の落下をまともに受けて即死した。陪審員は“事故死”の評決を下した…

アルフレッド・メースン「矢の家」(創元推理文庫)

「ハーロウ夫人がなくなって、遺産は養女に残されることになった。そこへ義弟が登場し、恐喝に失敗するや、養女が夫人を毒殺したと警察へ告発した。養女は弁護士に救いを求め、パリからアノー探偵が現地に急行する。犯人と探偵との火花を散らす心理闘争は圧…

アラン・ミルン「赤い館の秘密」(集英社文庫)

「《くまのプーさん》で夙に知られる英国の劇作家ミルンが書いた唯一の推理長編。それも、この1作でミルンの名が推理小説史上に残った名作である。暑い夏の昼さがり、赤い館を15年ぶりに訪れた兄が殺され、家の主人は姿を消してしまった。2人の素人探偵のか…

ロナルド・ノックス「まだ死んでいる」(ハヤカワポケットミステリ)

「召使のマック・ウィリアムは、空の明るい間は仕事を続ける人間の例に漏れず、早起きだった。 その朝も、山々の頂から夜明けの灰色の光が覗きかかった頃には、もう細君や子供を家に残し、いつものように、ブレアフィニイの方角へと歩いていた。 だが……この…

ロナルド・ノックス「サイロの死体」(国書刊行会)

「イングランドとウェールズの境界地方、ラーストベリで開かれたハウスパーティで、車を使った追いかけっこ〈駆け落ち〉ゲームが行われた翌朝、邸内に建つサイロで、窒息死した死体が発見された。 死んでいたのはゲストの一人で政財界の重要人物。 事故死、…

ロナルド・ノックス「陸橋殺人事件」(創元推理文庫)

「こんなじめじめした日の午後は、気分転換のために人殺しでもやってみたくなるものだが─剣呑な台詞を契機にした推理談義がもたらしたか、雨上がりのゴルフ場で男の死体を発見した四人組。すわこそ実践躬行とばかり、不法侵入に証拠隠匿、抵触行為もなんのそ…

イズレイル・ザングウィル「ビッグ・ボウの殺人」(ハヤカワ文庫)

というわけでしばらくイギリス探偵小説を特集する。 「12月初めのその朝、ロンドンのボウ地区で下宿屋を営むドラブダンプ夫人は、いつもより遅れて目を覚ました。下宿人のモートレイク氏は労働運動指導のため、すでに出かけてしまったと見える。霧深い冬の朝…

コリン・ウィルソン「賢者の石」(創元推理文庫)

死の問題にとりつかれた一人の青年が永生を夢みて不老長寿の研究を始める。研究は前頭前部葉の秘密に逢着し、彼は意識をほとんど無限に拡大し、過去を透視できるようになる。パラドックスを伴わない真の時間旅行がここに初めて実現する。だが意外な妨害が………