日本文学_エンタメ推理小説
これで3度目か4度目かの再読。 この迷宮めいた小説を少し変わった観点からサマリーをかいてみよう。すなわち、序章はたぶん一般的な小説であるとして、ミステリー愛好家の大学生とその周辺の仲間(計12人)のひとりが7月14日の盛夏に密室で刺殺された、とい…
季節の変わり目のせいか体調不良で集中力が切れていて、読書が進まない。気軽に読めると思って購入。 「会津地方一の名家・四条家で惨劇が起きた。―17歳で史上最年少の囲碁・本因坊となった牧場智久たちが、四条家に招かれた翌朝だった。蔵の白壁に首なしの…
「とある温泉町で列車に乗った7人が忽然と姿を消すと言う事件が起きた。宇野警部は休暇も兼ねて捜査に赴いた温泉で、女子大生の夕子に出会う。事件に興味を持った夕子は、宇野の姪と言う事で一緒に捜査に乗り出す。非協力的な村人達の中で、唯一協力的な健吉…
「1988年、西ベルリンで起きた謎の連続殺人。五人の娼婦たちは頸動脈を掻き切られ、腹部を裂かれ、内臓を引き出されて惨殺された。19世紀末のロンドンを恐怖の底に陥れた“切り裂きジャック”が、百年後のベルリンに甦ったのか?世界犯罪史上最大の謎「…
「米国ボルティモア市郊外で日系人兄妹の住むアシヤ屋敷が爆破された。直前にかかった予告電話どおり、『アッシャー家の崩壊』そのままに幕を開けた事件は、つづく『ベレニス』『黒猫』に見立てた死体の発見を受けていよいよ混沌とするが……。デュパンの直系…
「ニューヨークから海外ミステリを紹介した「ミステリの原稿は夜中に徹夜で書こう」、背表紙や表紙の写真を集めた「ニューヨークで買ったミステリの本」 、海外ミステリの書評「ミステリ・ガイド」、カルチャーセンターで行われた推理小説講義のテープを起こ…
本を読む前に、DVDになった岡本喜八監督の映画(1991年公開)を見た。1960年代の傑作群と比べると、見劣りのする映画であって、それでもなお1980年以降の映画からすると優れた作品になっているのは立派なものだ。ひとりの監督の作品を年代順にみていくと…
カストロバラバは不思議な港町。町のあちこちにエッシャーの描いた版画、スケッチその他とまったく同じ建物や設備がある。その空間は、我々読者がこの地球にいるような三次元と重力の影響と無関係である。そのために、三次元ではありえない捻じ曲がった空間…
「いんちき臭くなければ生きていけない! 思わぬ運命の転変にめぐりあい、莫大な金を必要としたとき、四人はそう悟った。目標は二億円――素人の彼らは老詐欺師のコーチを受け、知恵を傾け、トリックを仕掛け、あの手この手で金をせしめる……。奇妙な男女四人組…
「ヌードダンサーのミミイ・ローイこと漣子は八島財閥の御曹司・杉彦と恋に落ち、玉の輿に乗った。しかし幸福な新婚生活は長くは続かなかった。義父である当主・龍之助が何者かに殺害されたのだ。真犯人は誰なのか? 弁護側が召喚した証人をめぐって、生死を…
「ハイカラ右近探偵全集」(講談社文庫)を読んでピンとこなかったのだが、こちらの短編集は面白かった。とはいえ、500ページを読むのに1年ほどかかっているのだから、怠惰な読み手ということになるか。九鬼紫朗「探偵小説百科」(初版)でこの人の名前と「…
一時期はどの本屋にもころがっていたのに、調べてみると絶版中(それも講談社大衆文庫に収録されてから)。1967年の乱歩賞受賞作がこの冷遇ぶり。 著者は1934年生まれ。大学卒業と同時にプロ作家になり、6年後に乱歩賞を受賞。その後の創作はやまのよう。結…
「失踪した前任者・香取の行方を捜すために、内戦下のサイゴンに赴任した坂本の周囲に起きる不可解な事件。自分を尾行していた男が「ゴメスの名は・・・」という言葉を残して殺されたとき、坂本は、熾烈なスパイ戦の火中に投げ出された。香取の安否は? そし…
「俺はかならず妻の仇をとってやる。熱く焦げた銃弾を、そいつにぶち込んでやる――妻を殺された元ボクサー田島君彦の怒りは青く燃える。彼は信頼する新田警部補と組んで非情な復讐を開始した。それが、汚職で警視庁を追われ、金もうけをたくらむ新田の仕組ん…
「新作魔術発表会・・・ここでギロチンによって首を切り落とされた美女が蘇るという奇術「マリーアントワネットの処刑」が公開されると言う。ところがその舞台裏で切り落とされる首が消失。そしてその直後の殺人現場にはマリーアントワネット役をやる予定だ…
「邪馬台国はどこにあったか?君臨した女王・卑弥呼とは何者か?この日本史最大の謎に、入院加療中の名探偵・神津恭介と友人の推理作家・松下研三が挑戦する。一切の詭弁、妥協を許さず、二人が辿りつく「真の邪馬台国」とは?発表当時、様々な論争を巻き起こし…
高校生の時には感激して読んだ。 「昭和 32年、名探偵といわれた神津恭介が東大病院に入院し、探偵作家の松下研三と暇つぶしに義経=ジンギスカン説の推理を始める。奥州藤原氏三代の富貴栄華の源泉は北海道を越えて、樺太、シベリアの黄金入手にあり、これ…
探偵小説作家・江戸川乱歩登場。彼がその作品の大半を発表した1920年代は、東京の都市文化が成熟し、華開いた年代であった。大都市への予兆をはらんで刻々と変わる街の中で、人々はそれまで経験しなかった感覚を穫得していった。乱歩の視線を方法に、変…
島田荘司は、ミステリーをリアルとファンタジーの軸、それに直行する論理と情動の軸にわけて、過去の名作をプロットする。彼によると、「本格」というのは論理の軸をつきつめたところで、かつリアルかファンタジーの趣に富んだものであるという。リアルで論…