odd_hatchの読書ノート

エントリーは3000を超えているので、記事一覧よりもカテゴリー「INDEX」をご覧ください。2023/9/21

アガサ・クリスティ INDEX

2020/09/24 早川書房編集部「アガサ・クリスティ読本」(早川書房)-1
2020/09/22 早川書房編集部「アガサ・クリスティ読本」(早川書房)-2
2020/09/21 早川書房編集部「アガサ・クリスティ読本」(早川書房)-3
2012/03/16 アガサ・クリスティ「スタイルズ荘の怪事件」(ハヤカワポケットミステリ)
2020/09/18 アガサ・クリスティ「ゴルフ場の殺人」(創元推理文庫) 1923年
2020/09/17 アガサ・クリスティ「ポアロの事件簿 1」(創元推理文庫) 1924年
2020/09/15 アガサ・クリスティ「ポアロの事件簿 2」(創元推理文庫) 1925年
2012/03/17 アガサ・クリスティ「アクロイド殺し」(ハヤカワポケットミステリ)
2020/09/14 アガサ・クリスティ「アクロイド殺人事件」(新潮文庫)-2 1926年
2020/09/11 アガサ・クリスティ「ブルートレイン殺人事件」(新潮文庫)「青列車の秘密」とも 1928年
2020/09/10 アガサ・クリスティ「おしどり探偵」(ハヤカワ文庫)「二人で探偵を」とも 1929年
2020/09/08 アガサ・クリスティ「ミス・マープル最初の事件」(創元推理文庫)「牧師館の殺人」とも 1930年
2020/09/07 アガサ・クリスティ「シタフォードの秘密」(ハヤカワ文庫) 1931年
2020/09/03 アガサ・クリスティ「エンド・ハウス殺人事件」((新潮文庫)「邪悪の家」とも 1932年
2020/09/04 アガサ・クリスティ「ミス・マープルと13の謎」(創元推理文庫) 1932年
2020/09/02 アガサ・クリスティ「晩餐会の13人」(創元推理文庫)「エッジウェア卿の死」とも 1933年
2020/08/24 アガサ・クリスティ「オリエント急行の殺人」(ハヤカワ文庫) 1934年
2020/08/31 アガサ・クリスティ「なぜ、エヴァンズに頼まなかったか」(ハヤカワ文庫) 1934年
2020/08/21 アガサ・クリスティ「マダム・ジゼル殺人事件」(新潮文庫)「大空の死」「雲をつかむ死」とも 1935年
2012/03/20 アガサ・クリスティ「三幕の悲劇」(創元推理文庫)
2020/08/20 アガサ・クリスティ「三幕殺人事件」(新潮文庫)-2 1935年
2012/03/19 アガサ・クリスティ「ABC殺人事件」(創元推理文庫)
2020/08/27 アガサ・クリスティ「殺人は癖になる」(創元推理文庫)「メソポタミアの殺人」「メソポタミア殺人事件」とも 1936年
2020/08/28 アガサ・クリスティ「ひらいたトランプ」(ハヤカワ文庫) 1936年
2012/03/22 アガサ・クリスティ「ナイルに死す」(ハヤカワ文庫)
2012/03/21 アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」(ハヤカワポケットミステリ)
2020/08/25 アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」(ハヤカワポケットミステリ)-2 1939年
2020/08/03 アガサ・クリスティ「白昼の悪魔」(ハヤカワ文庫) 1941年
2020/08/03 アガサ・クリスティ「NかMか」(ハヤカワ文庫) 1941年
2020/08/04 アガサ・クリスティ「愛国殺人」(ハヤカワ文庫) 1941年
2020/07/31 アガサ・クリスティ「ゼロ時間へ」(ハヤカワ文庫) 1944年
2020/07/28 アガサ・クリスティ「ヘラクレスの冒険」(ハヤカワ文庫)-1 1947年
2020/07/27 アガサ・クリスティ「ヘラクレスの冒険」(ハヤカワ文庫)-2 1947年
2020/07/21 アガサ・クリスティ「予告殺人」(ハヤカワ文庫) 1950年
2020/07/17 アガサ・クリスティ「ポケットにライ麦を」(ハヤカワ文庫) 1953年
2020/07/20 アガサ・クリスティ「葬儀を終えて」(ハヤカワ文庫) 1953年
2020/07/16 アガサ・クリスティ「死への旅」(ハヤカワ文庫) 1954年
2020/07/14 アガサ・クリスティ「ヒッコリー・ロードの殺人」(ハヤカワ文庫) 1955年
2020/07/13 アガサ・クリスティ「死者のあやまち」(ハヤカワポケットミステリ) 1956年
2020/07/10 アガサ・クリスティ「無実はさいなむ」(ハヤカワ文庫) 1958年
2020/07/09 アガサ・クリスティ「カリブ海の秘密」(ハヤカワ文庫) 1964年
2020/07/07 アガサ・クリスティ「バートラムホテルにて」(ハヤカワ文庫) 1965年
2020/07/06 アガサ・クリスティ「第三の女」(ハヤカワ文庫) 1966年
2020/07/03 アガサ・クリスティ「親指のうずき」(ハヤカワ文庫) 1968年
2020/07/02 アガサ・クリスティ「復讐の女神」(ハヤカワ文庫) 1971年
2020/06/30 アガサ・クリスティ「象は忘れない」(ハヤカワ文庫) 1972年
2020/06/29 アガサ・クリスティ「カーテン」(ハヤカワ文庫) 1975年
2020/06/26 アガサ・クリスティ「スリーピング・マーダー」(ハヤカワ文庫) 1976年

 

 アガサ・クリスティの探偵小説を40冊ほど読んだ。全冊読破にはほど遠いが、一区切りになったので、俺のお好みを書いてみる。
 長編は
アクロイド殺し
オリエント急行の殺人」
ABC殺人事件
そして誰もいなくなった
「ゼロ時間へ」
はまず外せない。クリスティは後年になるほど小説がうまくなるので、1940-50年代の作品はどれも満足できる。「ポケットにライ麦を」「無実はさいなむ」「死者のあやまち」「バートラムホテルにて」が印象的。1970年代晩年期の「象は忘れない」「復讐の女神」も後期高齢者を描いていて、高齢者には読みでがある。ベスト10を作るには読んだ本が少ないので、ここまで。
 一時期はハヤカワ文庫で全作を読めていた(1980年代)。そのころはトリッキーな1930年代作品が高評価だった。1990年代にクリスティの平易にみえる記述に隠された優れた技術に評価が当てられたようだが、そのころから入手がむずかしくなっていく。創元推理文庫新潮文庫講談社文庫などは1920-30年代の凡作を販売していて、全体像をつかめなくなってしまった。もう一度戦後作が読めるようになってほしいが、21世紀には風俗が古びて注釈なしでは読めなくなっているのではないか。あと50年もするとイギリス文学の古典枠に入って、また読めるようになるかも。

 

 「オリエント急行の殺人」創元推理文庫版のよいところは、この国のクリスティファンクラブを立ち上げた方の解説が入っているところ。アガサと文通して、晩年の作家の手紙がいくつか紹介されている。そのうち、1972年2月21日付の手紙で作家に自作のトップ10を選んでもらった。以下の作品を挙げている。順位なし。かっこ内は発表年。
そして誰もいなくなった(1939)/アクロイド殺害事件(1926)/予告殺人(1950)/オリエント急行の殺人(1934)/ミス・マープルと13の謎(1932)/ゼロ時間へ(1944)/終わりなき夜に生まれつく(1967)/ねじれた家(1949)/無実はさいなむ(1958)/動く指(1943)
 書き手と読み手では評価が異なるなあ。うしろの4つの作品は批評家や読者の選択ではまず選ばれることのない作品ばかり(自分も未読)。読者は謎の解決のあざやかさや論理性に注目するところを、作家はストーリーや人物に着目するというあたり。