科学史
「旧約聖書を生んだユダヤの歴史から説き起こし、真のイエス像と使徒たちの布教活動を考察。その後の迫害や教義の確立、正統と異端との論争、教会の堕落と改革運動など、古代から中世を経て近代、現代に至るキリスト教の歴史を、各時代の思想、政治・社会情…
1976年に中公新書ででたものを1996年に文庫化したもの。1930年前後に生まれた二人の対談で、19世紀から現在までの思想を概括したもの。哲学書を読み始めたものにとっては、それまでの読書の結果を位置づけていくいい指導書になるのではないかしら。デカル…
読了2回目。前回は非常に興奮したのだが、今回は冷静に。 主題は、16世紀の科学革命(コペルニクス、ケプラー、ガリレオなど)が中世の混迷した非合理的思考を批判、排除するなかから生まれたというこれまでの科学の発達史の説明は不十分。むしろ、彼らはプ…
「近代」というのもなかなかあいまいな言葉で、科学や哲学で見れば、ガリレオやデカルトに始まるということになっているみたい。その前には、占星術師で天文学者であるようなティコ・ブラーエ、コペルニクスという人たちもいることになる。そのような系譜の…
最初に読んだのは、落合太郎訳の岩波文庫だった(本文より訳注のページ数が多いというのに驚愕。これが学問なのかとその高さに呆然とした)。あとで小場瀬卓三訳角川文庫も読んだ。今調べると、 谷川多佳子訳岩波文庫、 山田弘明訳ちくま学芸文庫、野田又夫…
「哲学原理」は「方法序説」第4部以降にデカルトがこれは確実な知識あるいは原理だと「証明」したものを箇条書きにまとめたもの(原本からそうであったかは不明。もう少しあとに編集された本によるのではないかな)とされる。前半第1部には「我思う故に我あ…
「パンセ」を読んだことはないので、「考える葦」にも「賭け」にも何かいうことはない。そのかわりに、このような「科学」論文は楽しんで読む。科学に括弧を添えたのは、まだこの時期の一部の科学は哲学の一分野であったから(このように限定するのはたとえ…
「天と地をひっくり返す」というのは驚愕を表す最上級の表現として、カント以来有名なのだが、その元になった「コペルニクス的転回」を記した書を読む。1543年刊行。 コペルニクスの業績については、トーマス・クーン「コペルニクス革命」(講談社学芸文庫)を…
ハーバード大学での講義録をまとめて1957年に発表。コペルニクスの「革命」とは何か?ということを考えた。重要なのは2点で、ひとつは現代の知識で彼とその知見を評価しないこと。現代の視点や価値が投影されて、遅れた彼ら-進んだ我々という偏見をもってし…
続いて後半はコペルニクスの革新とその影響について。面白いのは、コペルニクスはのちの「革新」にあたることを一切主張していなかった。のちの人は、コペルニクスの宇宙観(地球を宇宙の中心から外し、球体であるとする)がもつ可能性に魅かれて、新しい発…
「世界中のあらゆる人が、地球は宇宙の不動の中心だと信じていたときに、地球は太陽のまわりを回る一天体にすぎないと主張し、説得するのはどんなに大変なことだったろう。近代科学の誕生までには、コペルニクス、ガリレオ、ケプラー、ニュートンをはじめと…
上巻のエントリーは、 2013/02/11 ハーバート・バターフィールド「近代科学の誕生 上」(講談社学術文庫) 下巻は18世紀から19世紀まで。 近代化学のはじまり ・・・ 力学と天文学の空間は均一で、なにかで充満している必要はないことから、その中の物質は分…
荒俣版「教科書が書かない生物学史」みたいなものかな。生物学史を教科書的に書くとすると、まずアリストテレスの動物誌があり、長期間をあけてハーヴェイの血液循環理論になり、レーヴェンフックの顕微鏡の発明と細胞の発見、リンネの近代分類学、パスツー…
蘭学創始期の記録であるこの書があることは知られていたが、原本の行方は要としてわからなかった。明治維新の直前、安政大地震で焼失したものと思われていたのだ。しかし、明治初年の前の年、神田の古本屋で発見された。それに喜んだ福沢諭吉が明治2年に復刻…
著者は、ジュリアン(「進化とは何か」講談社ブルーバックス)とオルダス(「すばらしい新世界」講談社文庫)の祖父。若いときには、イギリス海軍の軍医として博物学旅行を行い、帰国後はロンドン大学の理学部教授として生理学を研究する。現在の生物学教科…
チャールズの第三子フランシスの記したチャールズの記録。初出は1892年。邦訳は1927年で、生物学者で進化論の紹介者である小泉丹が行った。自分のもっているのは1987年の第3刷。旧字旧かなで、活字はところどころつぶれているという状態。 ダーウィン家 ・・…
グレゴール・メンデルは1822年生まれで1884年没。モラヴィア地方にいた。教職志望であったが検定試験に2度失敗し、僧職につく。29歳のとき、僧院の推薦でウィーン大学に留学し、主に物理学を研究。帰国後、僧院の教職につき、博物学・物理学全般を指導。あわ…
これもなーつかしいなあ(by佐藤允@独立愚連隊西へ!)。いまは廃刊になった雑誌「自然」の連載が中公自然選書になり、これも品切れになって岩波現代文庫で刊行された。残念なのは、中公自然選書に載っていた写真が削除されたこと。戦前の多くの研究所、大…
2013/01/31 廣重徹「科学の社会史 上」(岩波現代文庫) の続き。 「戦後日本の科学は,戦時の総力戦体制の構築とともに整えられた基盤の上に成長し,経済政策に即応するかたちで大きな飛躍を遂げた.下巻では,敗戦・復興から高度成長へといたる時代の科学…
1981年、岩波現代選書で発行。1970年代に、科学は社会にどのような影響を与え受けたのかというレポート。廣重徹「科学の社会史」を受けて、書かれなかった1970年代を鳥瞰しようとする試み。ここでは「1968年」という象徴年に、科学の体制化の在り方が変わっ…
1995年初出のこのレポートは、廣重徹の史観をもとにして、戦後の科学技術政策を4つの時期に分ける。 1.占領政策の影響(1945-1952) ・・・ 占領政策の初期にはニューディーラーが教育・科学を担当する部署に多くいたので、アメリカ型の科学技術政策や組織…
若くして亡くなった科学史家の論文集。彼の関心は物理学史とこの国の科学社会学であったが、ここではそこから外れるテーマの論文が収録されている。内容は濃い。例によって論文のサマリー。 科学のおける近代と現代 ・・・ 科学の開始は16世紀ごろに求められ…
たぶん季刊クライシスの科学批判特集号(「技術と人間」が正しい)で、読書案内に載っていたから購入したのだと思う(1983年購入)。 1970年代の真ん中あたりにかかれたもので、この国への紹介は1980年。監修をしている里深文彦さんは当時相模女子大助教授で…
タイトルからすると、博物学者か有機農業を行うコミューン生活者を志すように思える。この本が出版されたのは1975年ころ(翻訳は1982年)であるので、反=資本主義的な生き方が志向され、このような隠遁的な生活スタイルが試みられたものだ。そうい…
雑誌「自然」や「科学」に連載された記事を元にして1960年晩冬に出版された。この本の衝撃の一端は荒俣宏「目玉と脳の大冒険」に記載されている。なにしろ、生物学の目的について大転換を図ろうという目論見があって、その転換の大きさというのは当時の学者に…
「生物学の革命」の10年後の「みすず」連載をまとめたもの。ベトナム戦争と大学闘争、公害と環境破壊と資源枯渇が背景になっていて、前著よりもさらにラディカルな問いかけになっている。 I. 序章 ・・・ この本の問題意識は2つ。ひとつは、大学闘争による「…
前著「反科学論」から3年後の1977年刊。前著の想定読者および問いかけ先は職業科学者であったが、こちらでは一般市民(というか非専門家)に対して科学を説明することを目的にしている。もちろん単純な啓蒙ではなくて、科学批判への実践的な参加の呼びかけを…
1980年の語りおろし。前著「あなたにとって科学とは何か」に対する批判があって、分子生物学からなぜ発生生物学に変えたのか、科学批判はどのようにあるのか、などを話すためのもの。 彼は1947年から核酸の研究を始めていて、西欧の分子生物学の興隆を実感で…
1982年刊行。この本の前には「反科学論」1972、「あなたにとって科学とは何か」1977、「日本人と生物学」1980、「今西進化論批判序説」1980がある。そこに書いたことが前提になっている事に注意。単独で読むことは可能だが、これらに目を通しておくほうがわ…
1980年から83年にかけて雑誌に書いた文章やインタビュー、講演を収録している。科学批判の主題は別の本(「私にとって科学とは何か」朝日新聞社)の感想で触れたのでここでは書かない。 代わりに「バイオテクノロジー批判」について。とはいえ、当時の状況を…